各診療科・各部門紹介

臨床検査技術部

細菌、結核菌検査室

私たちは、以下の通り最新の技術を用い微生物検査を通して良質な医療の提供に貢献します。

  • 神戸市西地域の中核機能病院およびがん拠点病院として、良質な感染症診療を行う上で必要な微生物検査結果を提供します。
  • 神戸市の結核指定医療機関として最新の結核菌検査を導入し、結核診療を行ううえで必要な検査結果を提供します。
  • 患者さんが安心して治療を受けられるよう、また職員が安心して働けるように院内感染防止対策に貢献します。
  • 感染防止対策室、感染防止対策委員会および感染防止対策チーム(ICT)と協力し医療関連感染の制御を行います。

1.当院の微生物検査

 黄色ブドウ球菌や大腸菌と言った一般細菌から、結核菌などの抗酸菌、カンジダやアスペルギルスなどの真菌、インフルエンザやノロウイルスなどのウイルス、日本海裂頭条虫や赤痢アメーバなどの寄生虫まで幅広い微生物を対象に検査を行っています。
 検査内容は、グラム染色や抗酸菌染色した標本を顕微鏡で観察する塗抹検査、培地を用いて病原微生物を発育させる培養検査、微生物が保有する遺伝子を検出する遺伝子検査などを中心に行っています。

2.塗抹検査を用いた感染症診療支援

  1. グラム染色を用いた感染症診療支援を行っています

     喀痰や尿など、感染が疑われる部位から得られた検体にグラム染色結果を、約30分で報告することで、感染症診療に必要な情報を提供しています。結果の報告は検出微生物の情報に加え、炎症細胞や浸出物の有無など、患者さんの病態粕に必要な情報も付け加えて報告しています。
     また、グラム染色で菌種を推定し報告することで治療方針の決定に貢献するだけでなく、感染症の可能性が低い場合に、不要な抗菌薬の投与を最小限に留めることができます。

    【 図1 】グラム染色所見の報告例
  2. 蛍光顕微鏡を用いた感度の高い抗酸菌塗抹検査を行っています。
     結核病検査指針に基づき遠心集菌法で塗抹検査を行っています。遠心した臨床検体を用いて作成した標本を蛍光顕微鏡で観察することで、従来の光学顕微鏡での検査に比べ検出感度が10~15% 高くなります。

3.培養・同定・薬剤感受性試験

 主に寒天培地を用いて微生物を増殖させ、微生物の種類を確認(同定)し、微生物に応じて薬剤感受性検査を実施し報告しています。微生物の同定は、以前は自動分析器を用いて行っていましたが、2018年4月からは質量分析器を用いて行っています。

 質量分析器とは、細菌のタンパク質をイオン化し分離(重さで分ける)することで、細菌の持つタンパク質の性状を解析し菌種を同定する機器です。菌種同定には、従来法(自動分析器)では18時間ほど時間を要していましたが、質量分析器を用いることにより、約10分で同定が可能になります。また、血液培養陽性例では、血液培養液を用いて菌種同定が可能であり、検体の処理時間を含めて30分ほどで菌種が判明します。迅速に菌種同定を行うことで、アンチバイオグラム(菌種ごとの薬剤感受性の一覧表)に基づいた抗菌薬の選択が可能になり、患者さんの予後改善や医療コストの削減に繋がります。

【 図2 】質量分析器(VITEK MS)

4.薬剤耐性菌の検出

薬剤耐性菌を迅速かつ正確に検出するために最新の検査法を導入しています。

1. MRSAの検出には薬剤耐性遺伝子(mecA遺伝子)の検査を行っています。
 血液培養からブドウ球菌が検出された際には、約30分でMRSAかどうかを報告しています。
 

【 図3 】mecA遺伝子を用いたMRSAの検出

2.カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)や多剤耐性緑膿菌(MDRP)の検出に最新の技術を用いています。



図4 検出の画像

3. 多剤耐性結核菌の薬剤耐性遺伝子(リファンピシン耐性遺伝子、イソニアジド耐性遺伝子、ピラジナミド耐性遺伝子)を検出する検査を実施しています。

5.遺伝子検査を用いた病原微生物の検出

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)などのウイルスやマイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)など培養での検出が難しい微生物を中心にPCR法を用いた遺伝子検査を行っています。
発育に時間のかかる結核菌も、検体から直接PCR検査を実施しており、約60分で結果の報告を行っています。また、結核菌との鑑別が難しいウシ結核菌(BCG由来株)の検出も可能です。

6.ASTラウンドの実施

ASTとは「抗菌薬適正使用支援チーム(Antimicrobial Stewardship Team)」のことで、AMR対策の推進のために発足しました。不適切な抗菌薬の使用が耐性菌の発生や蔓延の原因となることから、抗菌薬使用の適正化を目的に活動しています。

ASTラウンドでは、広域抗菌薬使用患者や血液培養陽性患者、免疫不全患者などを対象に、感染症の早期モニタリングを行っています。微生物検査や血液検査、画像検査の結果より、感染源の特定や、抗菌薬の用法・用量について他職種(医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師)で話し合い、必要に応じて主治医にフィードバックをしています。
【 図4 】ASTの構成と役割

7.業務成績など

現在、7名の臨床検査技師が在籍しており、2名が認定臨床微生物検査技師および感染制御認定臨床微生物検査技師の資格を有しています。

  1. 令和3年度実績
    1. 一般細菌検査件数:28,164件(うち血液培養検査件数:9,224件)
    2. 抗酸菌検査件数    :3,042件
  2. 研修医の教育プログラム
    1. 臨床研修医期間中に微生物検査室へのローテーションができます。年間1~2名の研修医が研修に来られ、微生物検査室やASTラウンドでディスカッションを行い、微生物検査の重要性について学ばれます(図4)。
      【 図4 】初期研修医を対象にした微生物検査プログラム
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