各診療科・各部門紹介

臨床検査技術部

生理機能検査

心肺機能検査室

心肺機能検査室では、主に心臓、血管、肺に関する検査を行っています。特に超音波検査では、日本超音波医学会と日本心エコー図学会認定の超音波検査士により、質の高い検査を提供しています。

主な検査実績(2021年)
心エコー 4,727件
小児心エコー 931件
胎児心エコー 96件
経食道心エコー 39件
血管エコー 1,500件
心電図 14,492件
トレッドミル試験 211件
運動耐容能 25件
ホルター心電図 614件
呼吸機能検査 2,614件
血圧脈波検査 735件
皮膚灌流圧測定 70件

1.心電図検査

狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患や不整脈の診断に役立ちます。また、手術前や入院時に検診目的で検査する場合もあります。検査時間は5分程度です。上半身と両手足首に電極を着けますので、ワンピースやストッキングの着用はできるだけ避けて下さい。

心電図のイラスト

2.長時間心電図(ホルター心電図)検査

小型心電計を装着し、長時間記録することによって、睡眠中や運動中の心電図を記録することができます。装着中に胸痛や動悸などの症状があれば用紙に記録していただき、その時間帯に心電図の異常があるかを検索していきます。装着中は入浴やシャワーはできませんが、その他制限はありません。検査時は上下に分かれた服装が便利です。

ホルター心電図

3.24時間血圧測定(ABPM)

小型の血圧計を腕に装着し、血圧の平均値や活動時と就寝中の血圧差を測定することにより、血圧の日内変動を調べる検査です。検査時は上下に分かれた服装が便利です。

血圧測定

4.トレッドミル検査

動く歩道のようなベルトの上を歩きます。負荷前~負荷中~負荷後の心電図を記録し、狭心症や不整脈の有無を検査します。一定時間ごとにベルトの傾斜と速さが増していきます。年齢で目標心拍数が決まっており、目標心拍数に達するか、症状または心電図に変化が出現したら終了します。検査時は上下に分かれた服装で、ズボンの方が便利です。運動靴は不要です。

トレッドミル検査装置トレッドミル検査

5.心肺運動負荷検査(CPX)

運動能力(運動耐容能)と運動に伴う呼吸状態の変化を調べる検査です。心電図、血圧計、マスク(呼気中の酸素や二酸化炭素の濃度を測定するため)を装着し、自転車こぎの運動をします。心臓、肺、筋肉、血管の機能を総合的に評価し、検査結果をもとに心臓疾患患者さんの運動療法の処方を行うことができます。通常、運動時間は約10分以内です。上下に分かれた服装でズボンの方が便利です。

心肺運動負荷検査装置 (呼気ガス分析装置とエルゴメータ)

AE-310sシステム AE-310SRDとエルゴメータとのオンラインシステム例

6.血管エコー検査

四肢動静脈など、体のあらゆる血管における血液の流れを評価します。下肢静脈エコー検査では、足のむくみや痛み、さらには肺塞栓症や脳梗塞の原因となりうる静脈内の血栓(血のかたまり)の有無を検査します。腎動脈エコーは、難治性高血圧症の原因の一つである腎血管性高血圧の有無を検査します。検査時は上下に分かれた服装が便利です。

7.心臓超音波検査(心エコー検査)

胸部から超音波をあて、心臓や血管からの反射波を画像として表すことで、心臓の形態や心機能評価(収縮と拡張)、弁の機能などを観察する検査です。3次元心エコー検査などの最新の技術を用いた検査も行っています。人体に害はなく、新生児から大人まで何度でも繰り返し検査が可能です。検査所要時間は15〜30分です。検査時には上半身裸になっていただきますので、上下に分かれた服装が便利です。食事の制限はありません。

超音波診断装置

3D strain

8.経食道心エコー検査

胃カメラと同じような管状の経食道プローブを飲み込み、食道から心臓を観察する検査です。検査は心臓専門の医師が施行します。プローブを飲み込みやすくするため、のどに麻酔をします。体表面からの心エコー検査に比べ、より鮮明な画像が得られます。検査当日は食事、飲水の制限が必要です。

経食道プローブ エコー検査の様子

9.胎児心エコー検査

お母さんのおなかの上から、胎児に影響のない超音波を当てて、赤ちゃんの心臓の形態や動きを観察します。出産前に心臓や大きな血管に病気があるかどうかを知っておくことは非常に重要です。出生後すぐに手術の必要な病気がある場合は、手術対応可能な施設で計画的分娩を行うことができ、赤ちゃんの身体的負担やお母さんの精神的負担の軽減につながります。検査の所要時間は約15~30分です。検査時は、上下に分かれた服装が便利です。

胎児心エコー検査

レントゲン写真

10.呼吸機能検査

肺活量や1秒量(最大努力で一秒間に呼出される量)から呼吸機能を評価します。喘息や肺気腫などの呼吸器疾患の経過観察や、手術前の検診目的に検査します。また、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の鑑別に有用な「呼気一酸化窒素測定(FeNO)」や「呼吸抵抗測定(IOS)」の精密な呼吸機能検査も行っています。

呼吸機能の検査

呼吸抵抗測定装置(IOS)

11.足関節上腕血圧比(ABI、CAVI)

ABIは動脈硬化指数を測定する検査です。CAVIは血圧に依存しない動脈硬化指数です。両手足首に血圧計のカフを巻き、両手首に心電計の電極を挟みます。さらに、心音マイクを胸に着け、仰向けに寝た状態で上下肢の血圧を測定します。両手足の血圧を比較することで、動脈の狭窄がないかを推測できます。検査時は上下に分かれた服装が便利です。

動脈硬化指数検査

Illustrated by M.Yamano

12.皮膚灌流圧測定(SPP)

手や足の皮膚の血流(皮膚灌流圧)を測定し、末梢動脈の循環機能を評価します。足の裏や足の甲または手のひらや手の甲などに血圧計のカフを巻き加圧します。その後、徐々に減圧していき、再灌流する圧をレーザードプラ法で測定します。検査の所要時間は約30〜60分です。

脳波検査室

脳波検査室では、脳神経関連検査、聴力、平衡機能検査を行っています。

1.脳波検査

脳波検査は、頭皮上に電極を付け、脳の電気活動を記録し、その機能を評価する検査です。痛みもありませんので、小児科、内科、神経内科、脳外科等(新生児から大人まで)広く用いられています。リラックスして検査をお受け下さい。熱性けいれん、てんかん、意識障害、脳器質疾患などの診断に役立ちます。

デジタル脳波計

脳波検査を受けているイラスト

2.耳鼻いんこう領域検査

めまい、難聴、顔面神経マヒなどの精査を行っており、以下の検査項目があります。

  • 聴力検査、チンパノメトリー、耳小骨筋反射、歪成分耳音響反射(DPOAE)、耳管機能検査
  • 精密聴力検査(聴性定常反応:ASSR、聴性誘発反応:ABR、語音検査など)
  • 顔面神経検査(NET、ENoGなど)
  • 平衡機能検査
  • 音声機能検査  

聴力検査を受けているイラスト

3.筋電図検査

しびれ、筋力低下などを対象とした神経や筋の活動状態を評価する検査です。手足に微弱な刺激を与えますので、多少の痛みを伴います。 

心電図検査を受けているイラスト

腹部超音波検査室

腹部超音波室では、腹部、体表領域(乳腺、甲状腺)の超音波検査を行っています。

1.腹部超音波検査(腹部エコー)

超音波を発信し、その反射波をモニタ画面に映し出し、おなかの臓器(主に肝臓・胆嚢・膵臓・腎臓・脾臓)の形態や、血管などの状態を調べます。人体に害はありませんので、新生児から成人まで繰り返し検査可能です。検診などのスクリーニングから精密検査、腹痛などの原因検索まで幅広く用いられています。検査時は朝食のみ絶食です。また、糖尿病の方は低血糖発作予防に飴などを持参してください。おなかにゼリーをつけて検査しますので上下に分かれた服装が便利です。

データ解析、報告書作成室

2.乳腺超音波検査(乳腺エコー)

近年、日本人女性のがん罹患率第1位は乳がんです。乳がん検診の受診率が増加し、超音波検査やマンモグラフィの重要性が高まっています。超音波検査はゼリーを乳房につけて乳房の断面図を画面に映し出します。詳細に乳腺の構造が観察できます。穿刺吸引細胞診の検査時にも超音波検査は欠かせません。検査時は上下に分かれた服装が便利です。
 

 

3.甲状腺・唾液腺超音波検査(甲状腺エコー)

超音波診断装置

甲状腺や唾液腺(顎下腺、耳下腺、舌下腺)は皮膚直下に存在します。このような表在臓器に対して超音波検査は最も適しています。首にゼリーをつけた状態でプローブをあて、腫れやしこりの有無などを検査します。また、穿刺吸引細胞診の検査時にも超音波検査は欠かせません。検査時は首元が大きく開く服装が便利です。

 

4.IMT検査

超音波で頚動脈の壁の厚さを測定する検査です。頚動脈の壁は内膜、中膜、外膜と三層で構成されていますが、IMTとは内膜と中膜の複合体肥厚度(intima-media thickness of carotid artery, IMT) を示し、全身の動脈硬化の程度を反映すると考えられています。特に血管内腔への隆起性形状を示すものはプラークと呼ばれ脳血管障害、虚血性心疾患、閉塞性動脈硬化症などの血管病発症リスクの指標となっています。 

総頸動脈エコー像

5.頚動脈ドプラ検査

超音波診断装置

頚部の動脈を観察する検査です。頚動脈は体表面に近く、超音波検査による動脈硬化の進行度合の評価に適しています。首にゼリーをつけて検査をするため、検査時は首元が大きく開く服装が便利です。
血管壁の厚さ(参照:前項のIMT検査)の測定に加え、脳梗塞などの原因となり得るプラークの有無を観察し、ドプラ法を用いて狭窄率や血流の評価を行います。繰り返し検査が可能なため、動脈硬化の程度や治療後の経過観察を定期的に行うことができ、血管病の予防にもつながります。

 

6.関節リウマチ超音波検査

近年、関節リウマチの早期診断に超音波検査が用いられるようになり、当院でも2014年から関節リウマチ超音波検査を開始いたしました。主に関節の滑膜というところを評価しています。

関節リウマチ超音波像(正常)
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