各診療科・各部門紹介

消化器内科

診療内容

消化器内科が対応している疾患

1.消化管疾患

食道癌、胃癌、大腸癌などの消化管悪性腫瘍の早期診断に力を入れています。そのため、全スコープでNBI観察が可能であり、7台全ての光源がハイビジョン対応となっています。また、通常の外来検査の時点からできるだけ拡大機能付きのスコープを用いて検査を行っています(図2)。

図2 拡大観察(NBI)による病変範囲の確定

早期診断が可能であった病変については、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)(図3)病変を切除することを目指しています。

図3 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

消化管の進行癌(食道癌、胃癌、大腸癌など)については、外科・消化器外科と連絡を取り合って手術適応について検討しています。癌化学療法(抗癌剤治療)についても最新の知見に基づいて適切に実施しており、国指定がん拠点病院の役割を果たしています。癌による消化管狭窄については、食道、胃十二指腸、大腸などに緩和的な消化管ステント(図4)を留置しています。

図4 消化管(十二指腸)ステント
図4 消化管(十二指腸)ステント

大腸ポリープについては、小型で出血のリスクが低く、低異型度の腺腫が疑われる場合には、発見次第その場で切除するCold Snare Polypectomyを実施しています。大きいもの、高異型度や悪性の可能性があるもの、後日あらためて入院または外来で内視鏡的粘膜切除術(EMR)を行っています。
胃十二指腸潰瘍などの消化性潰瘍、食道静脈瘤破裂については、緊急上部内視鏡検査を実施し内視鏡的止血術を行います。大腸憩室出血などの血便については、造影CTで出血部位や程度を確認の上で内視鏡的止血術や放射線診断科と協働して動脈塞栓療法を実施しています。
潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患についても、多数の患者さんを診察しています。5-ASA製剤の内販はもとより、ステロイドホルモンや免疫調整剤、血球吸着療法や生物製剤などを用いて、患者さんの病状に応じた適切な治療を実施しています。
小腸病変を観察する小腸カプセル内視鏡については、2018年11月より導入し出血源不明の消化管出血などの患者さんに検査を行っています(図5)。小腸シングルバルーン内視鏡検査については、主に胃切除術後再建後などの胆道系へのアプローチに使用しています。

図5 小腸カプセル内視鏡
図5 小腸カプセル内視鏡

2.肝疾患

近年のウイルス性肝炎治療の進歩は目覚ましく、ウイルス性肝炎から、肝硬変、肝癌へと進行していく患者さんの病状進行を食い止めることができるようになりました。B型肝炎では核酸アナログ製剤を用いて行われ、C型肝炎ではインターフェロンフリー治療(DAA治療)によってウイルスを消失させることができるようになっています。

肝細胞癌の患者さんは全体としては減少傾向ですが、早期に発見して、できるだけ肝予備能を落とすことなく治療することが重要です。従って、慢性肝障害のある患者さんに腹部エコーを中心とした定期的な画像診断を行い、必要に応じて、造影CTや造影MRI、造影エコーなどを組み合わせて早期に診断し、適切な治療につなげています。治療方法については、切除、ラジオ波焼灼療法(RFA)(図6)、肝動脈塞栓療法(TACE)、分子標的薬などをガイドラインに基づいて選択していますが、患者さんのQOLも含め十分に検討した上で適切な治療を行っています。

図6 ラジオ波焼灼療法(RFA)

3.胆膵疾患

総胆管結石の患者さんは非常に多くいます。総胆管結石の治療は、消化器内科が担当し、内視鏡的に十二指腸乳頭を切開して結石を除去します(図7)。強い胆管炎を伴う場合には、まずは胆管内にドレナージチューブを置いて十分な減圧を得て全身状態が安定してから、後日結石除去を行っています。

図7 内視鏡的十二指腸乳頭切開と結石除去

胆管癌、膵癌などが疑われた場合には、従来からある腹部エコー、CT、MRIなどに加えて、超音波内視鏡検査(EUS)を積極的に実施しています。精査が必要な場合には、入院の上で、ERCP(内視鏡的胆管膵管造影)にて細胞診や組織診を実施します。また、病変の部位によってはEUS下に生検を行うEUS-FNA (図8)も実施することが増えています。これらによって正確に診断を行い、治療につなげています。治療については、外科・消化器外科とも十分に検討を行った上で、外科手術や抗癌剤治療などを組み合わせて適切な治療方法を選択しています。

図8 超音波内視鏡下針生検(EUS-FNA)

4.消化管瘻造設

嚥下障害などで経口摂取が困難な状況では、経管栄養が実施されます。短時間であれば経鼻胃管を用いて行いますが、長時間が予想される場合は胃瘻からの注入が推奨されています。当科では経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG=ペグ)をこれまでに1000例以上行なっています。また、PEG困難な場合には経皮経食道胃管挿入術(PTEG=ピーテグ)も造設が可能で消化管減圧目的の場合を含めて、これまでに約200例実施しています(図9)。

 

図9 PEGとPTEG

  当院、消化器内科で実施している検査・治療などの件数を別表に示します。

2021年4月〜2022年3月の検査・治療の件数
上部消化管内視鏡検査・治療総件数 4951
 上部消化管内視鏡検査 4539
 上部消化管内視鏡治療 412
 ・上部消化管止血術(静脈瘤以外) 125
 ・食道静脈瘤治療(EIS/EVL) 25
 ・食道内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD) 5
 ・胃内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD) 76
 ・胃内視鏡的粘膜切除術(EMR) 15
 ・食道異物除去術 16
 ・上部イレウスチューブ挿入術 80
 ・食道狭窄部バルーン拡張術 20
 ・経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG) 33
 ・経皮経食道胃管挿入術(PTEG) 5
 ・食道金属ステント留置術 5
 ・胃・十二指腸金属ステント留置術 7
大腸内視鏡検査、治療総件数 3510
 大腸内視鏡検査(Cold Snare Polypectomyを含む) 3039
 大腸内視鏡治療 471
 ・下部消化管止血術 73
 ・大腸内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD) 43
 ・大腸内視鏡的粘膜切除術(EMR) 324
 ・大腸金属ステント留置術 21
 ・下部イレウスチューブ挿入術 10
内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)総件数 463
 ・十二指腸乳頭切開術(EST) 206
・十二指腸乳頭バルーン拡張術(EPBD) 16
 ・胆管金属ステント留置術 32
 ・胆管チューブステント留置術 154
 ・経鼻胆管ドレナージ術 183
 ・膵管ステント留置術 9
 ・経鼻膵管ドレナージ術(細胞診を含む) 0
超音波内視鏡(EUS)総件数 298
 EUS-FNA(超音波内視鏡下針生検) 78
 EUS-CD(超音波内視鏡下膵嚢胞ドレナージ) 2
腹部超音波検査・治療総件数 8656
 腹部超音波検査(技師+医師) 8530
 造影腹部超音波検査 26
 経皮的エコーガイド下針生検 24
 経皮的エコーガイド下治療 38
 ・経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA) 11
 ・経皮的胆管ドレナージ術(PTCD) 10
 ・経皮的胆嚢ドレナージ術(PTGBD)吸引(PTGBA) 5
 ・経皮的肝膿瘍ドレナージ術 7
 ・経皮的腹腔内膿瘍ドレナージ術 5
(シングルバルーン)小腸内視鏡検査・治療総件数 36
 小腸内視鏡検査 8
 小腸内視鏡治療(術後胆管への治療) 28
小腸カプセル内視鏡検査総件数 3

西神戸医療センター消化器内科公式blog

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