周産期センターの紹介
西神戸医療センターでは平成6年の開院以来、安全・安心なお産の提供をめざしています。当院は総合病院のため糖尿病や高血圧といった合併症を抱える妊婦の方も専門的な診療をうけながらお産をしていただくことが可能です。また、リスクの高い妊婦の情報を妊娠期から産科医、小児科医、精神科医、看護師、助産師、検査技師などと共有し連携をとりながら入院を受け入れる体制をとっています。
周産期センターには新生児の治療室がありますが、超音波検査などで出生後すぐに緊急手術が必要な場合はNICU(新生児集中治療室)のある施設や小児外科のある施設へ搬送させていただくことがあります。
出産に立ち会った助産師を含め、病棟の看護師・助産師が入院中の赤ちゃんのお世話をしています。お母さんと赤ちゃんを同じスタッフが担当し、産後の身体のケアだけでなく、赤ちゃんの病状や育児に対する不安などお母さんの気持ちに寄り添いながらケアしています。
総合病院と聞くと年齢層の高い方が出産されているイメージが強いと思いますが、下のグラフにも示したように約3割は10代と20代の比較的若い年齢層の方が出産されています。

「次も是非、西神戸で出産したい!」というお母さん方も多く、出産の度に当院に戻ってきて下さる方もたくさんいらっしゃいます。
スタッフ紹介
産科病棟では総勢34名の助産師と看護師が皆さんの妊娠・出産・育児のお手伝いをしています。20代のスタッフが半数以上を占めていますが、経験を積み助産能力が一定の水準に達していると認められた「アドバンス助産師」の認定を受けた助産師が9名在籍しています。また、新生児蘇生法(NCPR)をスタッフ全員が習得し、出産直後の赤ちゃんが生まれた後の環境に適応できるようケアをしています。
クリニックなどではアメニティが充実していて施設も綺麗で食事もおいしくて・・・というお話を耳にされると思いますが、当院でもお母さん方に満足していただけるよう工夫を凝らして頑張っています!

出産お祝い膳を2020年にリニューアルしました。また、最近では皆さんへさらに素敵なサポートができるようファミリアサポートクリニックに登録し、病棟にはフォトブースが設置されました。さらに、赤ちゃんの肌着もファミリア製に変わる予定です。
妊娠中のサポート
産婦人科外来看護師・助産師と周産期センター看護師・助産師が協力して健診や診察、相談をお受けしています。
妊婦健診・検査
当院の産婦人科外来は3階の5番受付になります。初診時から出産直前の健診までここで健診を受けていただきます。
お母さんと赤ちゃんにとって安全で安心できるお産になるように、妊娠中に必要な診察と検査を行います。定期的な受診がすこやかな赤ちゃんの成長を確認でき、異常の早期発見や対処につながります。妊婦健診の予約にかかわらず、腹痛・出血・お腹の張りなど気になる症状があればいつでもお気軽に病院までご連絡ください。
妊娠中の診察や指導について
妊娠週数 |
健診頻度 |
診察内容 |
妊婦相談室での指導 |
初診~妊娠23週まで |
3~4週間に1回 |
出産予定日を決定します 血液型や感染症の採血を行います 妊娠全期間の健診で尿検査と血圧測定・超音波エコー検査を行います |
プロフィール作成(緊急連絡先等) 妊娠前期の注意点 両親学級テキストのお渡し |
妊娠24週~35週まで |
2週間に1回 |
妊娠中期の採血と腟分泌物(おりもの)の検査があります |
妊娠中期の注意点 胎動カウントの方法(妊娠28週以降) 授乳について(乳頭チェック) 両親学級DVDの視聴案内 |
妊娠36週以降 |
1週間に1回 |
妊娠後期の採血と腟分泌物(おりもの)の検査があります 健診毎にNST(ノンストレステスト)で赤ちゃんの健康状態を確認します |
妊娠後期の注意点 分娩方法・バースプランについて 入院時期と物品の確認 乳頭ケアについて(乳頭チェック) 両親学級DVDの視聴案内 |
妊婦相談
産婦人科外来のフロアにある妊婦相談室では、病棟助産師が妊娠期の指導や相談をお受けしています。当院で妊婦健診を受けられている方は少なくとも3回は来ていただく機会を設けています。それ以外でも日々の気になることや腹帯・骨盤ベルトの着帯方法、両親学級のDVDの視聴など妊婦健診の待ち時間などで気軽にご相談ください。
妊娠前期:当院で妊娠健診に通われる方・分娩をご希望の方(里帰り分娩を含む)は皆さんに妊婦相談室でプロフィールを聴取させていただきます。妊娠中の注意点やマイナートラブル(つわり等)の対処法についてお話しします。
妊娠中期:妊娠中期の注意点と、胎動カウントの方法をご説明し妊娠28週頃から実施してもらっています。授乳に関するご希望についても伺い、必要な方には妊娠中からケアを行います。
妊娠後期:出産前の心身の準備の説明や入院物品の確認を行います。陣痛が来たとき、破水したときだけでなく、お一人お一人の状況や今までの経過に合わせた電話のタイミングを相談して決めます。いよいよ出産も近づきいろいろな不安やイメージが膨らんできている時期なので、出産の流れや乳頭マッサージの方法なども個別でご説明します。会陰マッサージや出産後のskin to skin(カンガルーケア)、臍帯血バンクについても対象の方にご説明をさせてもらいます。

助産師外来
*現在は休止していますが、今後再開予定です
妊娠15~19週の時期に助産師が胎児心拍の聴取とエコーを行います。また着帯方法や授乳方針など個別で指導や質問に対応しています。初めて心拍を聞くことができたり、エコー画面で赤ちゃんの全身が確認できる時期なので皆さんゆったりと楽しんでくださいます。
両親学級DVD視聴
*現在は休止していますが、今後再開予定です
両親学級で使用していたテキストには妊娠中の経過やマイナートラブルへの対処法、妊娠中の栄養、お産の流れやマッサージ・呼吸法、入院中の生活、母乳育児について赤ちゃんを迎える準備の内容がすべて詰まっています。初診で妊婦相談に寄られた際にお渡ししています。(別途費用を頂戴しています)
また、2020年から両親学級でお話しする内容をDVD化しています。健診や採血の待合中にも視聴できる様にポータブルDVDプレーヤーとイヤホン(片耳用)をセットで貸し出しています。ご家族と一緒にご視聴も可能です。ご覧になりたい方はお気軽に妊婦相談室にお声がけください。1講義の視聴時間は約20分です。
DVD講義 |
内容 |
対象週数 |
おっぱいクラス |
1.母乳育児の利点 2.乳房の構造と変化 3.母乳分泌のしくみ 4.授乳姿勢、抱き方 5.頻回授乳 6.母児同室 7.妊娠中の乳房・乳首ケア 8.食事・栄養について |
妊娠22週以降 |
育児クラス |
1.赤ちゃんとの生活 睡眠・栄養・排泄 2.産後の心と体 3.お父さんができること 4.赤ちゃんが喜ぶ抱っこの仕方 |
妊娠22週以降 |
あわ沐浴 |
1.沐浴とは 2.準備物品 3.4つのポイント 4.あわ沐浴の方法 |
妊娠22週以降 |
安産クラス |
1.お産が近づいたサイン 2.お産の開始 3.電話連絡のタイミング 4.入院から出産までの流れ 5.呼吸法・リラックス法 6.バースプラン |
妊娠28週以降 |
小児科医からのお願い |
1.出産前後の小児科医の役割 2.母乳 3.予防接種 4.家庭内の風邪に気をつけて 5.事故防止 6.子育て支援 |
妊娠28週以降 |
出産時のサポート
陣痛室
出産のため入院された後は、陣痛室で過ごしていただきます。
歩いたり座ったり、いろいろな姿勢をとることで痛みの緩和や気分転換につながり、お産も進みやすくなります。好きな音楽を聴いたり、アロマを使ってリラックスしながら過ごしていただくこともできます。「陣痛室でこうやって過ごしたい。こうしてほしい。」などのご希望があれば出産に対するイメージ作りにもなりますので、気軽に妊婦相談室で助産師にお伝え下さい。
なお、コロナ渦の現状では陣痛室での付き添いはご家族の方1名のみ可能ですが、分娩室での立ち会いは中止しています。
分娩室

出産が近づく頃、分娩室へ移動します。陣痛の程度などそのときの状況に合わせ、歩いて行くかベッドでの移動となります。
分娩室では、水分なども取りながら楽な姿勢で過ごします。出産のスタイルは仰向けか横向きとなります。
赤ちゃんが生まれる時には必ず産婦人科医が立ち会いますが、生まれるまで特に問題がなければ医師の立ち会いはなく助産師とともに呼吸法を合わせ出産にそなえます。必要時には小児科医が立ち会うこともあり、安全な出産となるよう努めています。
出産後、母子ともに落ち着いていれば、希望される場合ゆっくりとカンガルーケア※をしながら過ごしていただきます。その間は、陣痛室で付き添われていたご家族の方1名とそばで過ごすことができます。(コロナ渦の現状では、家族が赤ちゃんに触れることはご遠慮いただいています。退院後にゆっくり抱っこしてあげてください。)
※母子ともに出産直後は不安定な時期です。カンガルーケアについては詳しい内容と同意書を妊婦相談室でお渡ししています。
出産後のサポート(出産後~退院)
授乳

体調がよければ出産当日から授乳を始めます。お母さんも赤ちゃんも初めての授乳です。抱っこの仕方、赤ちゃんの支え方など一緒に練習していきましょう。妊娠中におっぱいクラスのDVDを観て頂いているとイメージがつきやすいです。お母さんにとっても赤ちゃんにとっても一番いい授乳の方法を一緒に見つけましょう!
お母さんのナプキンや赤ちゃんのお尻拭きは病院からお渡しします。
授乳クッションやピンク色の病衣も貸し出しをしていますので持参できなくても大丈夫です。
母児同室
経膣分娩の方は1日目から、帝王切開の方は3日目から24時間の母児同室ができます。赤ちゃんと一緒に過ごすことで生活リズムを知り、入院中に赤ちゃんとの生活に慣れていくことができます。気になることがあればいつでもナースコールを押して解決していきましょう。体調が優れないときは、赤ちゃんは新生児室でお預かりすることもできます。

退院前のお話
「おかあさまのしおり」という、授乳のことや赤ちゃんとお母さんの体のことなどが書かれている冊子をお渡しします。育児の中で気をつけることなどを含めて、退院の前日にお話させていただきます。
また、当院ではあわ沐浴を行っています。退院前日には、実際に赤ちゃんのあわ沐浴をしていただきますので、出産までにあわ沐浴のDVDも観てくださいね。
新生児診察・検査
赤ちゃんは全員生後1日目と退院日に小児科医の診察を受けます。また、先天代謝異常検査と聴覚スクリーニング検査を受けます。
入院中に赤ちゃんに関して気になることがあれば、いつでもスタッフに声をかけて下さい。
出産後のサポート(退院後)
電話訪問
希望される方には授乳の相談やミルクの量の調整、お母さんの体調の確認のため病棟看護師・助産師からお電話をかけさせて頂きます。退院するとわからないこともたくさん出てくると思いますが、何でも質問して下さい。自信を持って育児ができるように一緒に考え、アドバイスさせて頂きます。
母乳相談
退院後1か月健診までに体重の増えを確認したい赤ちゃんには、毎週金曜日開催の母乳相談に来て頂くことがあります。その時に授乳の様子についてもお話しましょう。
また、授乳に関して困っていることやおっぱいのトラブルなど、電話での確認が難しい場合もこの母乳相談で対応させていただきます。
2週間健診

神戸市在住の方を対象に、産後2週間頃にお母さんの体調を確認する2週間健診を行っています。産婦人科外来で血圧測定や尿検査、産後相談などを行います。
退院して数日が過ぎ、心身共にしんどくなる時期です。一度助産師とお話させてくださいね。
赤ちゃんとお母さんの1か月健診
赤ちゃんは小児科、お母さんは産婦人科で診察を受けます。退院した後の健康状態や、成長を確認する大切な診察です。また、助産師と話す時間もあります。悩みや困っていることなど、この機会に是非聞いて下さい。
地域の保健師さんとの連携

1か月健診が終わると産婦人科と小児科は卒業です。その後もお母さんと赤ちゃんに継続したサポートができるように、必要であれば地域の保健師さんと連携をとることがあります。
皆さんの希望のすべてに添えないこともありますが、お一人お一人の大切な妊娠、出産、育児を精一杯サポートさせていただきます。
皆さんにお会いできることを周産期センタースタッフ一同楽しみにお待ちしています!