医学生の皆さんへ
小児科部長兼研修プログラム責任者 松原 康策
新臨床研修制度が開始され今年度で19年目になります。皆さんの多くはどの病院で初期研修を受けたらよいものかと日々頭を悩まされていることと思います。ここでは当院の現状と特長などを紹介したいと思います。
当院は神戸市の西の端、三宮から地下鉄で約30分の地にあり、明石の真北に位置しています。病室からは緑に囲まれた住宅地の向こうに明石海峡大橋やそれに連なる淡路島が望めます。
病院は475床からなる総合病院で、心臓外科を除くほぼすべての診療科を備えています。475床のうち50床は結核病床で、残り425床が一般病床となっています。
医師の数は、現時点で研修医19名を含め160名で、忙しいながらも和気藹々として診療に当たっています。2021年度の救急患者数は1年あたり19,019件(一日あたり約73件)、救急車搬入数は1年あたり3,813台、手術件数は5,504件で、兵庫県内でも有数の実績です。
当院は、地域の中核病院として近隣の医療機関と連携しつつ、小児を含めた救急医療の充実を病院運営の中軸の一つに置いています。夜間・休日の救急診療は、研修医1年目、2年目、専攻医(後期研修医)1年目、スタッフの4段構えの体制で行っています。つまり、1年目の研修医は2年目の研修医や専攻医1年目と相談しつつ、難しい症例に関しては内科系、外科系、あるいは小児科のスタッフ医師の診察、指示を受けるというシステムです。患者さんへのファーストタッチは研修医が行うので救急対応能力が身に着きます。初期研修の2年間で約2,000名の救急患者を担当しますので、1年もすればあなたは見違えるほど成長しています。
各診療科のローテートですが、1年次はオリエンテーション1週(院内感染防止対策、医療事故、メンタルヘルス、臨床研修システム、オーダリング研修、医師の働き方改革等について他)、内科系24週、消化器外科あるいは呼吸器外科6週、整形外科2週、産婦人科4週、麻酔科4週、小児科4週、救急部4週、残り3週は選択外科とし、2年次は精神神経科4週、神戸市医師会2週、へき地医療(長崎県平戸)2週、小児科4週、救急部4週、選択外科5週、残りの31週は自由選択(歯科口腔外科除く)です。自由選択では検査部でのエコー、放射線科での画像診断、病理科も選択できます。勿論、将来の専門医取得を考慮して、専門領域を選択することも可能です。また研修医は毎週行われる内科カンファレンス、救急カンファレンスへの参加が義務付けられています。救急カンファレンスでは経験した症例のフィードバックと指導医によるレクチャーを受けられます。
当院の初期研修医は現在、1年次10名、2年次9名です。私はこの人数が最適だと思っています。診療科のローテートでは、研修医の人数が少ないほど密度の高い臨床経験が得られますが、これ以上人数が少ないと救急診療における4段構えの体制ができません。また、全員が同じ宿舎、一つの研修医室で過ごすのでとても仲良くなりますが、一つのグループとして行動できるのは10名ぐらいがちょうどよい人数ではないでしょうか。あなたも是非当院で研修して生涯の仲間を作ってください。
当院の研修の特長のひとつは、診療科間の壁、職種間の壁が低い点です。また、医局の各医師の机の配置が診療科ごとに分けられているのではなく、各科バラバラに配置されており、自ずと他科の医師との交流をもちやすい環境にあります。
厚生労働省の研修医へのアンケート結果によると、研修病院の満足度を満たす上位の理由に、病院の雰囲気、症例数、指導体制などが挙がっていました。当院は症例数や医療設備などの研修環境に関しては他の病院に引けをとらぬものを持っています。研修医が先輩の医師に気軽に質問できる雰囲気は魅力的です。また、指導体制、プログラムなどに関しては研修医自身やスタッフの意見を聞き、これからお互い協力し、一緒になって進化させていくべきものと考えています。医学生の皆さん、当院に見学にお越しください。当院の研修医と意見を交わし、病院の雰囲気を感じとってみていただければ、きっと何かいいヒントが見つかると思いますよ。