にしこうべ vol.03
2013年08月

いざという時、住んでいる地域で当たり前の治療が受けられる安心感を
《命に直結する心臓の病を24時間見守る》

高齢化に伴い、高血圧症や、狭心症、心筋梗塞、不整脈などの心臓疾患、大動脈瘤をはじめとする脈管疾患といった症状を抱える患者さんは増加傾向にあります。また、食生活をはじめとする生活習慣の変化から、心筋梗塞などの若年化もみられるようになりました。
 西神戸医療センターの循環器内科は、外部の医療機関と連携しながら外来、入院患者さんに対応するとともに、非侵襲的な検査等にも力を入れています。

(お話は、循環器内科部長 永澤浩志医師)

入院を中心に心臓疾患などを治療

Q:まず、循環器内科で診ていただけるのは、どのような病気かを教えてください。

循環器内科 永澤医師

永澤:わかりやすい疾患を挙げると、狭心症、心筋梗塞、弁膜症、不整脈、大動脈瘤、高血圧症などを扱っています。ペースメーカーの埋め込みや電池交換も当科の担当です。
定期健診や人間ドックの結果、かかりつけ医からのご紹介などをきっかけに、検査にお見えの方もおられます。心電図検査のほか、トレッドミル負荷検査、ホルター心電図検査、経胸壁、経食道心エコー図検査、心臓カテーテルの検査などがあります。
また、救急患者の受け入れは地域の中核病院としての責務です。循環器内科は、急性心筋梗塞や不安定狭心症のように1分、1秒の遅れが生死を分けるような症例を扱いますので、救急車到着から90分以内の治療を目標としています。当たり前のことですが、検査から血管形成手術などの治療へとスピーディに処置できるよう、医師・看護師・検査技師らが日頃から知識吸収とチームワークの向上に努めています。

Q:マルチディテクターCT(MDCT)など、最新の治療機器も積極的に導入されているそうですね。

永澤:MDCTは、複数のX線検出器を並列に搭載することで、一度の撮影で幅広い範囲のCTを撮影できる検査機器です。これによって、今まで困難だった、冠動脈の撮影が可能となりました。CTで冠動脈疾患のスクリーニングができれば、侵襲的なカテーテル検査を減らすことにつながります。また、いざカテーテル治療が必要になった場合も、従来の足からの治療より手首からの治療に移行させるといった低侵襲的医療を推進しています。
当センターのある神戸市西区の人口は24万9656万人(2012年11月1日現在)で、当センターの開設時から増加傾向にあり、高齢化も進んでいます。ところが、カテーテル治療ができる医療機関はごく少数です。取り立ててユニークな診療を行っているわけではありませんが、地域にお住まいの皆さんが、いつでも必要なときに、当たり前の治療を受けられる環境を整えておくよう心がけています。
たとえば、狭くなったり詰まったりした心臓の血管(冠状動脈)を風船で広げ、そこに金属製の網状のチューブを設置して血流を確保する「ステント治療」も実施しています。従来の治療では、ステントによって押し広げられた血管が、傷を修復しようと細胞が増殖し、肉が盛り上がって再狭窄を起こすケースが1~2割の頻度でありました。そこで最近では、再狭窄を防ぐために免疫抑制剤でコーティングされたステントが開発されています。そのほか、ステントの設置場所を探るガイドワイヤーの操作性が良くなっていたり、風船の素材が挿入・除去しやすいものに改良されたりと進化しているんですよ。冠動脈CT

内外で連携し、より良い医療を追求

Q:単科の診療所ではなく、さまざまな科を持つ総合病院であることが、循環器系の治療に与えるメリットはありますか

永澤:まず、合併症への対応がスムーズだということです。循環器系の疾患をお持ちの患者さんはご年配の方が多いですから、それだけ合併症のリスクも高くなります。たとえば、糖尿病などの持病をお持ちの場合なら、内分泌・糖尿内科と相談しながら患者さんの血糖をコントロールすることで、より安全な治療を行うことができます。
 また、長期に渡る治療や入院、あるいは手術を控えることによって心理的なストレスを感じる患者さんも少なくありません。ときには胃潰瘍が出来てしまう方もおられるほどです。そうした状況にも、他科の医師や看護師、臨床心理士といったスタッフに協力してもらいながら対応できるでしょう。
 逆に、他科の手術や治療の際に心臓に作用する薬剤を扱う場合のサポートや、原因不明のショック状態の患者さんへの救命的な対応もおこなうこともあります。

Q:一方で、西神戸医療センターには心臓外科がありません。外科医による手術を必要とする場合はどうしているのですか?

永澤:ペースメーカーの植え込み手術に関しては、循環器内科の範囲で行っています。それ以外の手術が必要な場合は、中央市民病院や神戸大学医学部附属病院、明石医療センターなど心臓外科(胸部血管外科)を持つ医療機関と連携をとって対応させていただきます。こうした外部機関とは、定期的にカンファレンスを行うなど交流の機会を持ち、専門知識を共有したり、人的なコミュニケーションを深めたりしています。

完治なき病にとことん寄り添う

Q:最後に、今後の目標についてお聞かせください。

永澤:循環器系の疾患は、風邪が治ったり、腫瘍が無くなったりするような“完治”に至らないものがほとんどです。症状が和らいで退院できたとしても、高血圧や動脈硬化といった素因を抱えたまま、付き合い続けていくしかありません。
 だからこそ、今まで以上に地域の診療所の先生方とも連携をとり、かかりつけ医による日常的なケアと、中核病院である西神戸医療センターの高度な検査や診断、入院治療とを、うまく組み合わせて利用していただけるよう、努めていかねばと思っています。
 また、生活習慣を改善するためのアドバイスや、退院後に万が一のことがあった場合に備え、特殊な器具や医薬品なしに出来る心肺蘇生法「BLS(Basic Life Support)」の講習会なども行っています。
 現在、循環器内科に在籍する医師は5名です。日々の外来診療や入院対応には十分だと感じていますが、急変や救急に24時間×365日で対応するには、もう少し人数が欲しいところです。外部の病院や地域の診療所とのコミュニケーションを深める時間や、臨床研究を社会に還元していく時間をつくるために、人員強化を含めて、さらなる努力をしていきたいと思っています。

ありがとうございました。

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