にしこうべvol.8カバー画像 糖尿病療養指導支援チームの写真
にしこうべ vol.08
2015年03月

入院治療を中心にチーム力で「生活習慣」の改善をサポート
《性格やライフスタイルも考慮した糖尿病治療》

日本の国民病とも言われる糖尿病。その治療には、薬剤投与のほか、「生活習慣」の改善が欠かせませんが、頭ではわかっていても食べ過ぎてしまう、体に不調があって運動ができない…とおっしゃる患者さんも少なくありません。

そこで西神戸医療センターでは総合病院の強みを生かし、医師、看護師のみならず、管理栄養士、薬剤師、理学療法士、臨床検査技師、歯科衛生士、さらには心理士といった専門家たちがチームを組んでトータルケアを行っています。

(お話は、糖尿病療養指導支援チーム 内科医長、辻 和雄 医師、下條 恵 看護師)

内科以外の医師やコメディカルも活躍

Q:糖尿病療養指導支援チームは、どのようなメンバーで構成されているのでしょう?

内科医長・辻 和雄 医師、下條 恵 看護師:医師は、私が担当する内分泌・糖尿内科はもちろんのこと、神経内科、腎臓内科、循環器内科、眼科、皮膚科の医師も関わっています。糖尿病は適切な治療をせずに放っておくと、網膜症、腎症、神経障害などの合併症を引き起こす恐れがあるため、他の診療科と連携していくことが重要なのです。
下條:看護師は病棟と外来をメインで担当している者が2~3名ずつ参加しています。さらに他のコメディカルとしては、管理栄養士が2~3名、臨床検査技師が2名、理学療法士、歯科衛生士、心理士が各1名、薬剤師は今年から病棟担当の1名が加わって合計2名となっており、医師と合わせると総勢約20名のチームとなります。

Q:歯科衛生士や心理士も糖尿病治療に関係があるのですか?

内科医長・辻 和雄 医師:生活習慣病である糖尿病は、医師だけの力で治療するのは難しいと考えています。もちろん、その人にとって適切な食事内容や運動量などを指示することはできますが、それを実践するか否かはご本人次第のところがあります。減量を目指すリハビリテーションで、理学療法士さんの指導やサポートを受けながら運動療法を実践したり、看護師さんに「こんなに数字が良くなっていますよ!」と具体的な効果を教えてもらうことを励みにしたりしながら、治療を進めていくケースも多いですね。

また、医師が厳しく指導すると、気分が落ち込んで治療へのモチベーションが下がってしまうことも…。糖尿病の治療は継続することが重要ですから、糖尿病指導外来では、事前に心理テストを行って患者さんの性格や行動の傾向を理解し、お一人おひとりに合わせたサポートができるよう努めています。
下條:2週間の入院治療では、歯科衛生士の方に「正しい歯の磨き方」など口腔ケアに関する指導をお願いしています。糖尿病は喫煙と並ぶ歯周病の原因であると同時に、歯周病になると糖尿病の症状が悪くなるという逆の関係もあり、悪循環を起こしやすいのです。歯磨きも生活習慣のひとつですから、入院中にしっかりと口腔ケアの良い習慣を身に付けていただくことが規則正しい生活の第一歩になればと願っています。
入院治療が終わったときは、外来担当の看護師にしっかりと引き継ぎを行いますし、気になる患者さんには外来まで会いに行くようにしています。生活習慣病の治療は根気よく継続することが大切なので、きめ細かに支援させていただくよう心がけています。

糖尿病透析予防外来や糖尿病教室で症状悪化を食い止める

Q:外来では、どのような指導をされていますか?

:通常の外来は週4日ですが、その他に毎月第2、4火曜日の午後に、血糖コントロールが悪化した方や教育入院が困難な方を対象とした「糖尿病指導外来」を行なっています。入院治療と同様、医師、看護師、管理栄養士の3者に加え、心理士の面接を行うことで、患者さん個々の性格に合わせた効果的な指導を心がけています。
下條 恵 看護師また、平成24年の診療報酬改定に伴い、「糖尿病透析予防外来」を実施するようになりました。平成10年以来、透析導入の原因は糖尿病由来の腎臓病(糖尿病性腎症)が第1位を占めています。患者の経済的な負担が軽減されるよう現在は、医療費の公的助成制度が確立されていますが、人工透析にかかる年に約500万円もの費用は、日本の社会問題である医療費の増大に拍車をかけることにつながります。透析導入の前段階で、糖尿病の進行を食い止めることは、患者さんにとってだけでなく、病院や国にとっても重要なことです。
下條:今話に出ました外来での診察時間は30分から長くても1時間前後ですので、個別指導には限界があります。その点、入院指導なら1時間半程度を割くことができますから、必要に応じてご家族に同伴いただくこともあります。お一人のときは、「キチンと先生の指導を守っていました」とお答えをされていた方が、実はご自宅で甘いものやお酒を召し上がっていたということをご家族から教えていただけたりもします。それに、お薬を飲むのを忘れがちな方、低血糖状態に陥る恐れのある方などもおられ、ご家族とも一緒にこれからの生活を考えていくことができます。

Q:外来患者さんや一般の方でも参加できる「糖尿病教室」も実施していますね。

:平成8年にスタートして現在も続いている「糖尿病教室」は、毎月第3火曜日の午後1時30分より1時間半程度行っております。
講師は医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士、臨床検査技師と歯科衛生士が交替で2名ずつ講師を務め、30分ずつの講義またはグループワークを行っています。これまでに、メディアで話題の「糖質制限食」に関する正しい知識をお伝えする講義や、足の変形に対応したくつに詳しい義肢装具士によるフットケア講座などを実施しました。また講義の他に、管理栄養士による調理実習(年に1回実施、これのみ要予約)や理学療法士による運動療法の実技も実施しています。参加無料、予約不要で、どなたでも参加できますので、院内の掲示などでご確認ください。

カンファレンスで院内外の連携力がアップ!

Q:「糖尿病カンファレンス」では、どのようなことが話し合われるのですか?

:もともとは、外来と病棟で糖尿病治療に携わる看護師間の情報共有の場として実施してきましたが、現在では「糖尿病療養指導支援チーム」としての活動方針を協議する目的で月1回開催しています。医師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士らが集まり、各職種による研究発表も行うため、他の職種の内容を学べる場としても機能しており、チーム力アップにつながっています。
下條:今年度の重点項目のひとつが、病棟における糖尿病に関連したインシデントの防止です。投薬やインシュリン注射など、慌ただしい食事時間と前後して行うべき処置が多いため、ヒューマンエラーの発生に気を付けねばなりません。そこで、ここ2年間に病棟内で起こったインシデントの内容を収集し、改善策を考えていこうとしています。

Q:院内のみならず、院外からも参加できるオープンカンファレンスもあるようですね。

内科医長・辻 和雄 医師、下條 恵 看護師:私が担当する内分泌・糖尿内科としての勉強会ですが、「西神戸糖尿病内分泌オープンカンファレンス」を年に3回行っています。研修医とスタッフによる症例検討を6例発表しています。また、このカンファレンスに参加できない医師向けに、症例報告2例(うち1例は他院より)と外部講師による特別講演からなる院外講演会を実施しています。
生活習慣病が年々増えているいま、地域の医療機関との連携はより 重要になっています。まずかかりつけ医の診察を受けて予防に努めていただき、合併症などの治療が必要な場合に当院にご紹介いただくといった、紹介・逆紹介がスムーズになるよう、ご理解・ご協力をお願いいたします。

下條:院外を含めた多職種連携によって互いが持っている専門知識を出し合えることは、とても良い勉強になっています。幅広い知識を持つことで、「ダメだとわかっているけど、なかなか生活習慣は変えられなくて…」とお悩みの患者さんを励まし、どんなに小さくてもいいので、ご本人のライフスタイルに採り入れやすく、続けていけそうなことを一緒に探し出し、一歩ずつ合併症予防のためのお手伝いをしていきたいですね。

ありがとうございました。

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