まず骨粗鬆症についてご説明します。
骨粗鬆症とは、骨が脆くなって折れやすくなった状態で、とくに脊椎(背中から腰)、大腿骨近位部(脚の付け根)、上腕骨近位端(肩)、橈骨遠位端(手首)などの骨折を起こします。骨粗鬆症の患者さんは日本におよそ1300万人と推定され、これは糖尿病よりも多い数です。
大腿骨近位部骨折は全国で年間20万件以上発生しており、当院でも年間100件以上の手術を行っています(昨年度は152件)。この骨折を起こすと、歩く力が骨折前のレベルまで回復しないことが多く、それまで以上に転倒しやすくなり、反対側の大腿骨も骨折する(これが二次骨折です)人が少なくありません。両側とも骨折すると歩行能力はさらに落ちてしまい、十分に歩けないことから足腰がさらに弱まり、食欲が落ち、意欲が低下し、心肺機能の低下を招き、生命に関わる事態にもなります。
最初の骨折を起こすまで骨粗鬆症の治療を受けていない人が多いですが、骨折後も骨粗鬆症の治療をされていない、あるいはせっかく治療を始めても途中でやめてしまう人が少なくありませんでした。
この負の連鎖を断つべく、2022年9月に発足した新しいチームです。
大腿骨近位部骨折で入院し手術を受けられた方を対象に、必要な検査を行って骨粗鬆症の程度や転倒リスクを評価し、未治療だった方には薬物療法を始める、治療を受けていたのに骨折してしまった方には適切な薬に変更する、骨折予防のためのリハビリテーションや栄養管理を行う、などの活動をしています。二次骨折予防は継続することが大事ですから、退院後も当院外来での通院加療や地域医療機関への情報提供を行っています。
整形外科医師、看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士、医療ソーシャルワーカー