この指針は、西神戸医療センター(以下「当院」という)において、院内感染防止のために必要な体制を確立し、適切かつ安全で質の高い医療サービスの提供を図ることを目的として、下記事項について定めるものである。
適切な院内感染対策は、患者、家族や医療従事者の安全確保、医療コストの軽減、地域における感染症の蔓延予防などに役立つ。とくに当院においては、神戸市西地域の中核病院として近隣の施設から重症患者の受け入れが多く、さらに高度医療にともない、免疫が低下している患者が多いため、適切な院内感染対策が不可欠である。このためには、関係法令の遵守、効果的な組織作り、標準予防策と感染経路別予防策の徹底、サーベイランスの実施と結果に基づく適切な介入、的確な職員教育などが要求される。これらの事項を適切かつ円滑に進めるため、当院では感染防止対策室、インフェクションコントロールチーム(ICT)と感染防止対策委員会が中心的役割を担って活動する。
全職員を対象に感染対策に関する研修会を原則年2回開催し、院内感染防止に必要な基本的な考え方や具体的な方策の周知徹底を図る。新規採用職員にはICTや看護部による感染対策の初期研修を行うほか、部署によっては必要に応じて個別に臨時研修を行う。院外の感染対策に関わる講習会や学会・研究会等の開催情報を職員に告知し、参加希望者の参加を支援する。研修実施内容や参加状況は記録・保存する。
細菌検査室は、病棟別および材料別の菌発生状況の集計を毎週1回、検出菌の感受性検査結果の集計を年2回行い、ICTミーティングおよび感染防止対策委員会に報告する。ICTは病棟回診を行い、その結果を感染防止対策委員会に報告する。法令で定められた報告すべき疾患や、院内での対応が困難な事態が発生した場合は保健所等に報告し対応を相談する。さらにこのような感染対策の概要は、毎月の病院運営協議会に報告し、各部署の責任者への周知を図る。
検査室においてMRSA、VRE、ESBL、MDRP、CRE、二類感染症(結核)、三類感染症(O-157、赤痢、コレラなど)の細菌を検出した場合、および偽膜性腸炎(CD+)、麻疹、ムンプス、風疹、水痘、インフルエンザと診断した場合は、院内感染をきたす可能性が高い場合や起因菌不明の状態で、発熱、下痢、気道感染症状などを訴える患者が多発した場合、医師が隔離等の対策を必要とする感染症と判断した場合にはICT担当者に連絡する。連絡を受けたICT担当者は主治医や病棟スタッフと協力して初期対応や感染の拡大防止に努める。感染源とみなされる患者と接触した患者ならびに職員を調査し、所定の書式をもって報告する。院内感染の規模が大きく深刻なものである場合は、院長を本部長とする対策本部を設置し、保健所と連携して緊急対策を講ずる。
本指針は、患者およびその家族等から閲覧の求めがあった場合には開示する。概要は病院ホームページに公開する。本指針についての照会には総務課および医事課が対応する。
感染防止対策マニュアルは文書ファイルを各病棟や外来等の主要な部署に配布するとともに、イントラネット上でも閲覧できるようにする。
西神戸医療センターの感染対策組織は、以下の5つの組織からなる。
それぞれの位置づけ・役割は以下の通りである。
院長、副院長、各部門長から構成される。感染関連による病院運営上の問題が発生した場合の対応・方針等を決定する機関である。
下記について必要な事項を調査検討する
会合実施頻度 | 月一回 |
---|
「感染発生時の対応」と「感染を発生させないための予防の推進」
院内感染対策プログラムの中核となり、院内各部署における感染症の発生状況や感染防止対策の実施状況を把握し助言を行う。院内感染対策の実働部隊であるICTへの指示を行う組織である。
感染防止対策室と協働して院内感染対策の実働部隊として活動する。
ICTメンバーは、感染防止対策室メンバーをコアメンバーとし、医師、看護師、検査技師、薬剤師、工学技士、理学療法士など多職種から構成され、個々の専門性を生かし、感染対策を推進するための人的資源として位置づけられる。
会合実施頻度 | 月一回 |
---|
感染症治療の早期モニタリングとフィードバック、微生物検査、臨床検査の利用の適正化、抗菌薬適正使用に係る評価、抗菌薬適正使用の教育、啓発等を行うことによる抗菌薬の適正な使用の推進を行う。ASTメンバーは、感染防止対策室メンバーを中心にICTメンバーの医師と協力して実施する。
会合実施頻度 | 月一回 |
---|
主に看護部門における院内感染対策の実働部隊として活動する。
会合実施頻度 | 月一回 |
---|