外科・消化器外科は胃癌、大腸癌、胆石症などの消化器外科疾患を中心に、ヘルニアなどの一般外科疾患と、腹膜炎や腸閉塞等の救急疾患を取り扱っています。乳癌などの乳腺疾患は乳腺外科が中心に診療にあたっています。
甲状腺疾患や下肢静脈瘤、バージャー氏病等の血管外科疾患は取り扱っていません。痔の疾患に対する手術も行っていません。国指定がん診療連携拠点病院として、癌の手術が多くを占めますが、鼡径ヘルニアや胆石症などの良性疾患の手術も行っています。
また手術以外に、手術前や術後の抗癌剤治療なども行っています。
当科は一般外科疾患や腹部救急疾患も取り扱っていますが、当院は国指定地域がん診療連携拠点病院であり、がんの外科治療にも力を入れています。食道癌・胃癌・直腸癌にはロボット支援手術を導入し、肝臓癌・膵臓癌などの難易度の高い手術にも腹腔鏡を取り入れています。
また救急患者の受け入れも当院の重要な役割の一つで、当科も虫垂炎や胆嚢炎、腸閉塞や腹膜炎などの急性腹症を可能な限り対応させていただいており、ヘルニアや胆石症などの良性疾患も、コロナ禍にあって通常診療における入院患者・手術数なども制限されていましたが、ようやく以前の状態に戻りつつあります。
神戸市西地域の中核病院の診療科として皆様によりよい医療を提供してまいりますのでよろしくお願いいたします。
外科・消化器外科部長 伊丹 淳
外科・消化器外科は胃癌、大腸癌、胆石症などの消化器外科疾患を中心に、ヘルニアなどの一般外科疾患と、腹膜炎や腸閉塞等の救急疾患を取り扱っています。乳癌などの乳腺疾患は乳腺外科が中心に診療にあたっています。
甲状腺疾患や下肢静脈瘤、バージャー氏病等の血管外科疾患は取り扱っていません。痔の疾患に対する手術も行っていません。国指定がん診療連携拠点病院として、癌の手術が多くを占めますが、鼡径ヘルニアや胆石症などの良性疾患の手術も行っています。
また手術以外に、手術前や術後の抗癌剤治療なども行っています。
日本外科学会外科専門医制度修練施設
日本消化器外科学会専門医制度修練施設
日本胃癌学会認定施設(申請施設B)
悪性疾患の主なものでは、胃癌・大腸癌・肝臓癌・膵臓癌・胆道癌・食道癌、良性疾患では胆石症(急性胆嚢炎)・急性虫垂炎・腸閉塞・鼠径ヘルニアなどを扱っています。予定手術の多くは癌の手術ですが、本院の救急病院としての役割もあり、緊急手術も全身麻酔手術症例の4割近くを占めています。
内視鏡下手術も増加傾向にあり、癌に対する手術においては内視鏡を用いることにより、患者さんに負担が少なく、かつ根治性を損なわない手術を行っています。胆石症でも急性胆嚢炎を合併していても適応があれば腹腔鏡下に行っています。さらに食道癌・胃癌・直腸癌に対するロボット支援手術も多くの患者さんで行っています。肝切除術、膵尾側切除術に対しても保険適応内で腹腔鏡下手術を行っております。
当科には日本内視鏡外科学会技術認定医が5名在籍しており、安全な手術を行っております。また低侵襲の手術ばかりでなく、食道や胃・大腸の高度に進行した癌に対しては術前化学療法を行うことによってdown staging をもたらし治癒切除を目指しています。
肝胆膵の悪性腫瘍に対しても積極的に外科的治療を行っております。近年、血管合併切除を伴うような高難度肝胆膵外科手術症例も増加しており、肝胆膵外科学会高度技能指導医1名、専門医が1名在籍しております。また、肝切除術においては、術前に門脈塞栓術を行うことにより残肝重量を増やしてより安全に切除するようにしています。
術式 | 小計 | 計 | |
---|---|---|---|
食道 |
食道癌根治術(頸・胸・腹) |
9(ロボット9) 1(内視鏡下 1) |
10(内視鏡下 1、ロボット 9) |
胃 | 胃全摘術 胃噴門側切除術 胃幽門側切除術 胃部分切除術 |
16(内視鏡下 5、ロボット 8) 7(内視鏡下1、 ロボット 6) 19(内視鏡下 10、ロボット 6) 9(内視鏡下 6) |
51(内視鏡下 22、 ロボット 20) |
胃穿孔部閉鎮術 胃空腸吻合術 |
2(内視鏡下 1) 3(内視鏡下 1) |
5(内視鏡下 2) | |
十二指腸 |
十二指腸腫瘍摘出術 十二指腸潰瘍穿孔部閉鎮術 |
1 3 |
4 |
小腸 | 癒着剥離術 小腸切除術 小腸小腸吻合術 小腸人工肛門造設術 小腸人工肛門閉鎖術 |
29(内視鏡下 11) 23(内視鏡下5) 1 1 1 |
55(内視鏡下 16) |
虫垂 | 虫垂切除術 | 111(内視鏡下 110) | 111(内視鏡下 110) |
結腸 | 盲腸切除術 回盲部切除術 右半結腸切除術 横行結腸切除術 下行結腸切除術 左半結腸切除術 S状結腸切除術 |
2(内視鏡下 2) 28(内視鏡下 21) 20(内視鏡下 16) 8(内視鏡下 7) 1(内視鏡下 1) 10(内視鏡下 9) 31(内視鏡下 27) |
100(内視鏡下 83) |
人工肛門造設術 人工肛門閉鎖術 |
19(内視鏡下 10) 5 |
24(内視鏡下 10) | |
直腸 |
直腸高位前方切除術 直腸超低位前方切除術 |
13(内視鏡下 4) 6(ロボット 6) |
44(内視鏡下 10、ロボット 20) |
肝臓 |
肝嚢胞開窓術 肝(拡大)左葉切除 |
3(内視鏡下 3) 0 |
41(内視鏡下 27) |
胆道 | 胆嚢摘出術 腹腔鏡下胆嚢摘出術 |
6 136 |
142(内視鏡下 136) |
胆嚢摘出術、総胆管切開術 | 4(内視鏡下 3) | 4(内視鏡下 3) | |
胆嚢摘出術、肝床切除術 | 7 | 7 | |
膵臓 |
膵全摘術 膵体尾部切除術(脾温存) |
1 1 |
31(内視鏡下 1) |
脾臓 | 脾臓摘出術 | 1(内視鏡下 1) | 1(内視鏡下 1) |
腹壁、腹腔 |
鼠径リンパ節生検 試験開腹 |
4 15(内視鏡下 12) |
食道がんに対する根治的手術は我々消化器外科にとって最も難易度の高い手術の一つであり、手術時間も長く、ひとたび合併症を起こしますと、重篤となることも多々あります。
しかしながら医療の進歩に伴い、より低侵襲で患者さんの負担を少なくする手術として、食道がんでも「胸腔鏡手術」が取り入れられました。それでも胸郭内での手術になりますので、従来の開胸手術に比べると、鉗子操作やスコープの取り回しに制限があることは否めず、時に「煩わしさ」を感じることもあります。
そこで登場したのが「ダヴィンチ手術」です。当院でも胃癌に対しては2018年から、直腸癌に対しては2019年からダヴィンチによるロボット支援手術を取り入れ、少し遅れましたが、食道がんでも2021年9月から開始しています。
食道がんの三大合併症として、「肺炎・縫合不全・反回神経麻痺」を挙げたいと思いますが、特に神経回りのリンパ節郭清において、関節が自由に効くことと手がぶれないことによる恩恵は計り知れないものがあります。従来の胸腔鏡手術の不自由さが克服された気がしております。
もしかすると「食道がんの手術なんてひどいことになるだけ」と手術をお勧めされない先生方もお見えになるかもしれませんが、胸腔鏡→ロボット支援と食道がん手術もずいぶん様変わりしてまいりました。ぜひ一人でも多くの患者さんにより安全で低侵襲な手術をお受けいただければ、と思っております。
いたみ あつし
伊丹 淳
平成4年 卒
役職 |
部長 |
---|---|
専門分野 |
消化器外科 |
資格 |
日本外科学会指導医 専門医 |
きょうごく たかひさ
京極 高久
昭和58年 卒
役職 |
参与 |
---|---|
専門分野 |
消化器外科 |
資格 |
日本外科学会指導医 専門医 |
はた としゆき
畑 俊行
平成12年 卒
役職 |
医長 |
---|---|
専門分野 |
消化器外科 |
資格 |
日本外科学会指導医 専門医 |
しおた てつや
塩田 哲也
平成14年 卒
役職 |
医長 |
---|---|
専門分野 |
消化器外科 |
資格 |
日本外科学会専門医 |
まつうら まさと
松浦 正徒
平成16年 卒
役職 |
医長 |
---|---|
専門分野 |
消化器外科 |
資格 |
日本外科学会専門医 |
やまもと たかまさ
山本 高正
平成18年 卒
役職 |
医長 |
---|---|
専門分野 |
消化器外科 |
資格 |
日本外科学会専門医 |
よしの けんじ
吉野 健史
平成18年 卒
役職 |
医長 |
---|---|
専門分野 |
消化器外科 (肝胆膵外科、内視鏡外科) |
資格 |
日本外科学会指導医 専門医 日本消化器外科学会指導医 専門医 日本内視鏡外科学会認定医 日本肝臓学会肝臓専門医 日本消化管学科専門医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 |
すみい あつひこ
住井 敦彦
平成22年 卒
役職 |
医長 |
---|---|
資格 |
日本外科学会専門医 |
よこやま しょうへい
横山 翔平
平成29年 卒
役職 |
医員 |
---|---|
専門分野 |
消化器外科 |
資格 |
日本外科学会専門医 |
とさ ひろのぶ
土佐 明誠
令和2年 卒
役職 |
専攻医 |
---|---|
専門分野 |
消化器外科 |
にしさき そら
西﨑 颯良
令和3年 卒
役職 |
専攻医 |
---|
診療室 | 月曜 | 火曜 | 水曜 | 木曜 | 金曜 |
---|---|---|---|---|---|
301 | 塩田 | 伊丹 | 松浦 | 山本 | 畑 |
302 | 京極 |
AM 土佐 PM 西崎 |
横山 | 住井 | 吉野 |
病期 | 症例数 | 5年生存率(%) |
---|---|---|
IA | 431 | 96 |
IB | 143 | 89 |
II | 136 | 83 |
IIIA | 96 | 49 |
IIIB | 88 | 38 |
IV | 181 | 9 |
全症例 | 1075 | 74.4 |
病期 | 症例数 | 5年生存率(%) |
---|---|---|
0 | 8 | 100 |
I | 133 | 89 |
II | 278 | 83 |
IIIA | 170 | 77 |
IIIB | 75 | 66 |
IV | 179 | 23 |
全症例 | 843 | 69.6 |
病期 | 症例数 | 5年生存率(%) |
---|---|---|
0 | 9 | 100 |
I | 83 | 94 |
II | 133 | 85 |
IIIA | 111 | 71 |
IIIB | 61 | 41 |
IV | 83 | 12 |
全症例 | 480 | 66.7 |
病期 | 症例数 | 生存率(%) | |
---|---|---|---|
5年 | 10年 | ||
0 | 42 | 100 | 100 |
I | 246 | 97 | 93 |
IIA | 222 | 93 | 83 |
IIB | 87 | 82 | 75 |
IIIA | 28 | 56 | 49 |
IIIB | 35 | 65 | - |
IIIC | 1 | - | - |
IV | 21 | 46 | - |
全症例 | 682 | 88.0 | 81.6 |
膵・消化管および肺・気管支・胸腺神経内分泌腫瘍の患者悉皆登録研究(Net registry)
登録中
京都大学外科関連施設における大腸癌手術治療成績の検討
登録中
京都大学外科関連施設における胃癌手術レジストリ
Kyoto University Surgery Network Registry of Gastric Cancer(KSNRGC) 登録中
登録中
膵頭十二指腸切除術後残膵膵管拡張の臨床的意義とそのリスクファクターの同定:多施設共同前方視的コホート研究(DAIMONJI)
登録中
根治的外科治療可能の結腸・直腸癌を対象としたレジストリ研究(GALAXY)
登録中
血液循環腫瘍陰性の高リスク stage Ⅱ及び低リスク stage Ⅲ結腸癌治療切除例に対する術後補助化学療法としての CAPOX 療法と手術単独を比較するランダム化第Ⅲ相比較試験(VEGA試験)
登録中
大腸癌手術後の就労に関する研究
登録中
ロボット支援胃切除術導入の安全性に関する研究
登録中
症例登録システムを用いた腹腔鏡下肝切除術の安全性に関する検討~前向き多施設共同研究~
追跡中
RAS遺伝子(KRAS/NRAS遺伝子)野生型で化学療法未治療の切除不能進行再発大腸癌患者に対するmFOLFOX6 + ベバシズマブ併用療法とmFOLFOX6 +パニツムマブ併用療法の有効性及び安全性を比較する第Ⅲ相無作為化比較試験(PARADIGM)
追跡中
RAS遺伝子野生型進行大腸癌患者におけるFOLFOXILI+セツキシマブとFOLFOXILI+ベバシズマブの最大腫瘍縮小率を検討する無作為化第Ⅱ相臨床試験(JACCRO CC-13)
追跡中
RAS 遺伝子野生型切除不能進行・再発大腸癌における二次治療FOLFIRI+ラムシルマブ併用療法の第Ⅱ相試験(JACCRO CC-16)
追跡中
切除不能進行・再発大腸癌における BRAF 遺伝子変異に関する多施設共同観察研究(J-BROS)
追跡中
実臨床における治療切除不能進行再発結腸直腸癌に対する初回治療としてのFOLFOXILI/FOLFOXILI+Bevacizumab 療法の効果と安全性を評価する多施設共同観察研究(TRIPON)
追跡中
局所進行下部直腸癌に対する術前補助化学療法の有効性と認容性の研究(Estneo研究)の長期予後調査研究
追跡中