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放射線技術部

放射線技術部

技師構成

西神戸医療センターの放射線技術部は、技師長・技師長補佐・主査・主任を含む男性技師21人、女性技師5人の合計26人(任期付正規職員1名含む)の診療放射線技師で構成され、検査部門と治療部門にわかれています。検査部門では、各診療科や地域の諸先生方のさまざまな依頼にお応えするため、CT、MRIなどの装置を駆使し、より診断価値の高い画像を提供しています。治療部門では、精度の高い放射線治療や、侵襲性の低いIVRに取り組み、患者さんがより安心して医療を受けられるよう日々努力しています。

技師長 浜田 誠

技師長補佐

合田 靖司

中村 大

主査

布垣 和也
浅田 泰弘
竹本 幸志
小形 朋子
三船 祐輔
吉田 一貴
伊藤 崇晃

藤本 孝弘

主任 伊田 雄貴

資格

放射線管理関連

第1種放射線取扱主任者 6名
第2種放射線取扱主任者 1名
放射線機器管理士 1名
放射線管理士 1名
被ばく相談員 1名

救急医療関連

救急撮影認定技師 3名
日本救急医学会認定
ICLSコース インストラクター
1名
AHA BLS インストラクター 1名

画像診断関連

検診マンモグラフィ

撮影認定診療放射線技師

6名
X線CT認定技師 1名
大腸CT検査認定技師 1名
画像等手術支援認定診療放射線技師 1名
Ai認定技師 1名
磁気共鳴専門技術者 3名
PET認定技師 1名

放射線治療関連

放射線治療専門放射線技師 3名
医学物理士 2名

その他

JQ医療安全管理者 2名
臨床実習指導教員 3名
臨床実習指導者 1名

検査の概要と目的

一般撮影部門では、胸部・腹部や全身の骨、乳房、歯科などのX線写真(レントゲン写真)を撮影しています。X線が身体を通過した情報から疾患や骨折の有無を調べる検査です。検査部位により姿勢(立位・臥位)や身体の向きを変えて撮影を行っていきます。

令和5年9月より、部門全てをフラットパネルシステムに更新し、完全フルデジタルシステムとなりました。院内全ての場所で、撮影後すぐに画像を確認できる環境になりました。

デジタル写真でどうなるのか?
写真画質の向上と被ばく線量の軽減ができました。当院では約40%撮影線量を下げることができました。また画像の表示方法を変えることにより、1回の撮影で複数の情報を得ることが可能です。

撮影室別撮影内容

Room1

全身骨、小児胸部、全脊椎、下肢全長、胸部、腹部、歯科用パノラマ
Room2 全身骨、小児胸部、全脊椎、下肢全長、胸部、腹部、乳房
Room3 胸部・腹部立位専用(上肢の骨撮影も可能)

※撮影室によって撮影内容が異なりますので待ち時間がかかることがあります。

病室 床上安静が必要な患者さんにはポータブル(出張)撮影も行っています。現在6台稼動しており、カセッテ型フラットパネルシステムにより病室での写真確認ができます。また、バッテリー式のため、停電時及び災害時の緊急時においても撮影可能です。
手術室

専用透視撮影装置が現在4台稼働しています。
令和4年3月より、1台をFPD搭載の装置に更新しました。

最新のフラットパネルシステムを導入し、撮影後すぐに画像を確認できる環境となりました。

救急撮影室 救急患者さんの撮影を行う専用の撮影装置があります。

Room 1、2

装置名

Ysio(SIEMENS社製)

特徴

フラットパネルシステムを採用して高画質の画像を提供します。装置が全てコンピュータ制御されており、安全で効率の良い検査が行えます。

Room1

Room2

【 乳房撮影装置 】

歯科用パノラマ・
断層撮影装置

コーンビームCT画像

【セファロ画像】

令和3年3月に一般撮影室のパノラマ撮影装置が更新されました。更新したことにより、従来のパノラマ断層撮影・顎関節撮影に加え、新たにコーンビームCT撮影・セファロ撮影(頭部X線規格撮影)が出来るようになりました。
コーンビームCT撮影では、3次元画像が表示でき、高解像度な画像を取得することができます。
セファロ撮影は一定の規格で撮影するので、治療前後の比較や成長の過程が確認できます。

 

Room3

装置名

RAD Speed Pro(島津社製)
CALNEO U(FUJIFILM社製)

特徴

最新のフラットパネルシステムを採用して高画質の画像を提供します。胸腹部撮影はもちろんの事、混雑時は骨撮影も可能なシステムです。

その他

装置名

C+flex(FUJIFILM社製)

CALNEO Flow(FUJIFILM社製)

特徴

カセッテ型フラットパネルシステムで、病室撮影にも高画質な画像を提供します。バッテリー式なので停電時及び災害時の緊急時においても撮影可能です。

平成31年3月より救急外来撮影室にも最新のカセッテ型フラットパネルシステムを導入しました。連続で撮影が可能な上、撮影後すぐに画像を確認できるため、スループットの向上が図れ、患者サービスにもつながっています。
X線撮影をされる方へ

X線撮影を撮るときは、診断に支障をきたす障害陰影の写しこみを防ぐため必要に応じて着替えをしていただきます。たとえば胸部を撮るときには上半身、腹部・腰椎のときは上半身と下半身にボタン、ファスナー、飾り等のある衣服、下着(ブラジャー)は脱いで検査着に着替えてください。
そのほか撮影するところに入れ歯、カイロ、湿布、指輪、ピアスやネックレス等があればはずしてください。

被ばく線量について(一般撮影)

一般撮影のような診断領域の撮影では放射線の被ばくによる影響はほとんどありません。
ただし、妊娠中またはその可能性のある方は担当技師にお申し出ください。

当院では出来るだけ被ばく線量を減らすよう努力していますので安心して検査を受けていただけます。
※ご不明な点はお気軽に担当技師にお尋ねください。

乳房撮影(マンモグラフィ)

乳がんを見つけるための専用装置を使ったX線撮影をマンモグラフィといいます。丸い乳房を平らに広げて(圧迫して)撮影を行いますので、少し痛みを伴う場合もある検査です。なるべく薄く延ばしたほうがボケや重なりが少なくなりより鮮明な画像が得られ、被ばく線量も少なくなりますので、少しの間がまんして協力してください。

当院では、資格をもった認定技師が担当、指導し、できるだけ女性技師が撮影を行っています。

撮影について

乳がん検診では左右それぞれ横からの1方向(MLO)だけ撮影します。 精密検査では左右それぞれ横から(MLO)と上から(CC)の2方向を撮影します。

MLO・・・腋の下から乳房の下まで写しこみます。
CC・・・胸壁から乳房全体を写します。必要があれば拡大スポット撮影を追加撮影します。

CC:(頭尾方向)
撮影

MLO:(内外斜方向)
撮影

実際の写真:CC
撮影

実際の写真:MLO
撮影

トモシンセシスについて

「トモシンセシス」とは、X線管球を扇状に回転させ多方向からX線を照射し、再構成により1mm厚の断層画像を得る乳房撮影の新しい技術です。この技術により、従来の撮影では判別が難しかった領域をより明確に確認することができます。当院の装置では、1回の圧迫で従来の撮影と「トモシンセシス」の連続撮影が可能となっています。

被ばく線量について(マンモグラフィ)

乳房撮影は軟線撮影といって骨のX線撮影に比べてX線が体を通り抜けるより組織に吸収される量が多いので被ばく線量の上限(3mSv)が規制されています。放射線は基本的に厚さに比例して線量が増加しますので、出来るだけ圧迫して薄く広げた方が線量を減らすことが出来ます。
当院ではFPD撮影により従来の約50~60%程度の被ばく線量に抑えています。

心配な方へ

「生理の周期に関係ないしこりがある、または痛む黄色または血の混ざった分泌物がある、陥没乳頭左右差や引きつれがある。」このような症状のある方は精密検査を受けられることをお勧めします。当院では乳がんの診断、治療は乳腺外科が担当科になっています。

骨密度測定

当院では骨祖鬆症(こつそしょうしょう)の予防、治療効果判定や経過観察などに骨密度測定を行なっています。

骨祖鬆症とは?

骨塩量(骨密度)が低下して、骨の内部が粗く、弱くなる骨の病気です。骨祖鬆症になると、骨折が起こりやすくなり、腰や大腿骨などを骨折してしまった場合、寝たきりになってしまうこともあります。お年寄り、特に閉経後の女性に多い病気です。早期発見のためにも早めに検査を受けることをお勧めします。

検査の方法は?

当院ではDEXA(デキサ)法という方法で骨密度を測定しています。近年、腰椎だけでなく腰椎および片側大腿骨近位部での測定が基本となっています。検査台の上に、あお向けで10分程度寝ていただくだけで検査ができます。特に着替えは必要ありませんが、写真を撮る部位に洋服の金具、湿布、エレキバン、カイロ等がある場合は外していただきます。

令和6年2月から新装置「HOLOGIC社製 Horizon」に更新しました。安定した高速測定により患者さんへの負担が軽減され、画像描出能力の向上や再現性の高い解析が行えるようになりました。新機能として、骨粗鬆症の診断に有用とされる腰椎骨微細構造評価(TBS)が可能となりました。また、全身を撮影することで全身体組成(骨密度、筋肉量、脂肪量)測定も可能となりました。

なお、検査による痛みはありません。また、X線による被ばくは約70マイクロシーベルト(胸部X線写真1枚で被ばく線量は約30~70マイクロシーベルト)とほんのわずかですので若い方でも検査を受けていただくことが出来ます。(妊娠中、またはその可能性のある方はお申し出ください。)

HOLOGIC社製 Horizon

撮影実績

2021年度
(令和3年度)
2022年度
(令和4年度)

2023年度

(令和5年度)

一般撮影(人) 43,170 42,207

43,335

特殊撮影 (人) 1,749 1,921 1,968
乳房撮影 (人) 1,114 1,001 1,112
病棟撮影 (人) 11,994 10,218 11,076
手術室撮影 (人) 1,942 1,950 2,231
骨密度測定(人/件) 626/1,519 778/1,888 794/2,024

CTとは、X線を用いて断層像を撮影する検査です。造影剤を用いない単純CTと造影剤を用いた造影CTに大別されます。

CT検査の実際

  • 検査台に寝ていただき、検査中は体を動かさないようにしていただきます。
  • 検査時間は5~10分程度です。撮影の際、撮影部位によっては、息を止めていただくようお願いする場合があります。
  • 造影剤を使用する場合、腕の静脈から注射し撮影します。造影剤は比較的副作用が少ない医薬品ですが、まれに副作用が生じる場合があります。

次のような方は注意が必要です。

  • 以前に造影剤を使用した検査で副作用の症状があった方
  • 喘息にかかった方(かかっている方)
  • 食べ物や薬にアレルギーのある方、アレルギー体質の方
  • 心臓や腎臓、甲状腺の病気、糖尿病、高血圧の治療を受けている方
  • 妊娠している又は妊娠している可能性がある方
  • 心臓ペースメーカーを植込みされている方

※当院では造影検査の前に1.同意書による同意の有無 2.問診表によるリスクのレベル 3.血液データ上の腎機能の数値による造影検査の可否を確認します。 患者さんの安全のため、これらの条件を満たさなければ造影検査は行っておりません。

検査を受ける時の注意点

  • 撮影部位によっては、ボタンや金具のついた服を着ていると正確な画像が撮れません。検査着に着替えてもらうことがあります。
  • 貴金属や装飾品は外し、金具のない下着を着用してきてください。
  • 検査当日の食事は、検査の部位、種類によっては絶飲食していただく場合もあります。
  • 心臓病、甲状腺の病気、糖尿病、高血圧の治療を受けている方には造影検査を行う際、お薬の種類をお聞きしておりますので、お薬手帳をご持参ください。

次のような方は必ず検査を受ける前にお知らせください。

  • 妊娠中または妊娠の可能性のある場合
  • 一週間以内に胃、腸などのバリウム検査を受けられた場合

子供の患者さんの検査について

CT検査では体が動いてしまうと正確な診断ができる画像が得られません。特に小さな子供の患者さんは動かないように眠ってから検査を行います。必要に応じて眠剤を服用してもらいます。

機器紹介

当院では160列MDCT 1台、80列MDCT 2台の3台体制で検査を運用しています。そのうち1台(80列MDCT)は救急外来に設置されており、救急外来におけるCT検査や感染症対策下の検査などを主に実施しています。

機種

  • 東芝メディカルシステムズ社製(現キャノン)
    Aquilion PREMIUM Edition1台
  • キャノンメディカルシステムズ社製
    Aquilion Prime SP i-edition2台

Aquilion
PREMIUM Edition

Aquilion
Prime SP i-edition

Aquilion
Prime SP i-edition(救急外来)

検査件数紹介

2021年度

(令和3年度)

2022年度

(令和4年度)

2023年度

(令和5年度)

年間患者数 27,834人 26,139人 28,300人
平均患者数 2,320人 2,178人 2,358人

検査の概要と目的

「血管造影検査(手術)」とは、血管(動脈、静脈)内にとても細い管(カテーテル)を挿入し、造影剤という薬剤を注入しながらX線撮影を行い、以下のような病気に対しての診断や治療を目的とします。

血管性病変

動脈瘤、脳梗塞、心筋梗塞、動脈や静脈の狭窄、消化管などからの出血等

腫瘍性病変

脳腫瘍、肝細胞癌、その他臓器の腫瘍や癌等
最近では医療技術の進歩により、動脈や静脈が狭窄、閉塞した場合に風船のついたカテーテルで血管を内部から膨らませたり(血管拡張術)、頭の動脈にできたこぶが血流によって破裂しないようにこぶの中に詰め物をしたり(脳血管内手術)、腫瘍が栄養としている血管に抗癌剤などの薬を流し、スポンジの様な物やコイルで栄養血管に栓をして兵糧攻めにする(血管塞栓術)などの、治療を目的とした血管撮影が大半を占めています。これをインターベンショナルアンギオグラフィーと言います。詳しくは各検査室の説明に紹介しています。

検査室の流れや注意点

検査(手術)時間は1〜3時間程度かかります。検査室に入ると沢山のスタッフ(医師、診療放射線技師、看護師など)がいて、チームを組んで行います。検査台に寝ると心電図を貼ったり、脈拍を測ったりなど準備をします。穿刺(血管に針で穴をあける)場所を消毒して、清潔な布をかけるといよいよ開始です。

まず穿刺する場所に麻酔の注射をします。ほとんどの検査は太ももの付け根(ソ径部)よりアプローチします。痛みを伴うのは麻酔時のみですので、あとは太ももの付け根を触っていることしかわかりません。カテーテルを目的血管まで進め、薬(造影剤)を流しながら血管の撮影をします。造影剤を流すと体が熱くなるような感じがすると思いますが、数十秒後には治まりますので心配いりません。ただし、副作用がまったくないわけではありません。まれに吐き気や発疹等が起こることがあります。

部位によっては息を止めて撮影をします。何度か撮影をしますが、撮影中に動いたり、息がしっかり止まってないときれいな写真がとれないので、患者さんの協力が不可欠です。<目的>でもふれましたが、診断のための撮影終了後に、そのまま治療を行っていくことがあります。『動かない』というのは意識すると大変なことですが、少しなら動いてもいい場合があるので我慢できなくなったり、変わったことがあれば何でもスタッフに伝えてくだされば対処します。 検査(手術)終了後は太ももの付け根に入ったチューブを抜いて10~20分押さえながら止血をします。検査内容により変わりますが、3~5時間程度は安静が必要です。歩ける様になるのは次の日になります。

検査により、太ももの付け根ではなく、手首や肘の血管よりアプローチすることもあります。太ももの付け根に比べて安静の時間が短くなるなど、患者さんへの負担が軽くなるという利点もありますが、検査(手術)の種類が限られているという欠点もあります。

血管造影室(血管造影室1)

当院の血管造影室は3階に2部屋あります。(※ 血管造影室1は頭、胸、腹、四肢の検査や手術を行い、放射線診断科、脳神経外科、循環器内科が対応しています。)

SIEMENS社製 AXIOM Artis QBA(2018年2月〜)

上記の装置が2018年2月末から稼動し始めました。以前の装置と大きく違う点として、X線撮影が正面と側面から同時に撮影可能な、バイプレーンと呼ばれる型式に変更されたことです。またX線検出器は正面、側面ともに大視野長方形タイプのFPD(フラットパネルディテクター)を搭載しています。最新式のFPD(フラットパネルディテクター)が更なる高画質と低被ばくを両立し、バイプレーン型式が造影剤量の減量を可能にしました。

もう一つの特徴として、CアームによるコーンビームCTが撮影可能になったことです。CT様の画像を得られることから、術中確認や術後確認を患者さんの移動なしに行うことができます。これらに加え、高度なIVR手技を支援するための先進機能やアプリケーションも搭載されており、術者や患者さんにより安全で優しい検査、治療環境を提供できる装置となっています。

この装置のトータルコンセプトは

  • 使い易さ(Ease of use)
  • 優れた画質(Image Quality)
  • 最大限の被曝低減(Care)
  • 最適なネットワークへの接続性(Connectivity)

の4つで、患者さんだけでなく医療スタッフへの負担を軽減しながら、頭から足先までの全身の検査を行うことが可能になりました。今まで使用してきた装置と大きく異なる点は、1回の撮影で血管の三次元像(3D)を見ることが可能なので、複雑な走行をしている血管を立体的に把握して診断や治療に役立てることができます。

頭部血管撮影画像(動脈瘤有り)

正面画像

側面画像

この2つの画像では、動脈瘤が分かりにくいのですが3Dを撮影することにより、さまざまな角度から見ることができ、診断・治療に役立てることができます。

動脈瘤

  • 頭・頚部
    動脈瘤、動静脈奇形→コイルなどによる塞栓術
    脳腫瘍→開頭手術前のコイルなどによる塞栓術
    脳、頚動脈狭窄(閉塞)症→バルーンやステントによる血管拡張術血栓溶解剤による血栓溶解術
  • 胸・腹部
    腫瘍(肝細胞癌等)、喀血などの出血→コイルなどによる塞栓術
    肺癌→開胸手術前のコイルなどによる塞栓術
    腎血管性高血圧症などによる動脈狭窄→バルーンやステントによる血管拡張術
  • 四肢
    動脈硬化塞栓症・透析シャント閉塞→バルーンやステントによる血管拡張術血栓溶解剤による血栓溶解術
    深部静脈血栓症→IVC(下大静脈)Filter留置血栓溶解剤による血栓溶解術

心臓血管造影室(血管造影室2)

※血管造影室2は主に心臓の血管(冠動脈)の検査・手術を行っており、循環器内科が対応しています。2022年4月より下記の装置が稼働しています。

Philips社製Azurion7(2022年4月〜)

旧装置の老朽化に伴い装置を更新いたしました。この装置の特徴は、以前使用していた装置に比べ、高度で複雑な手技に対応するための多彩な機能を有し、今まで以上に低被ばくと高画質の両立を実現できます。

検査の流れ

  • 検査用のベッドに横になっていただきます。ここで心電図の電極を付けます。
  • カテーテルを挿入する所を消毒します。
  • 動脈血管を確保してカテーテルを進めます。
  • 左右の冠状動脈を撮影します。
  • カテーテルを変えて、左心室の撮影をします。多めの造影剤が入りますので熱く感じますが、すぐに治まります。
  • 動脈を確保したところを止血して終了です。

以上のような流れで検査が進み、約1時間で終了します。

カテーテル治療(PCI)

検査の結果、冠動脈が狭くなっていたり(狭窄)、つまっていたり(閉塞)すれば、カテーテル治療(PCI)を行うことがあります。当院で行なっている主なカテーテル治療には以下のような手技があります。

POBA

→狭くなった血管を風船の付いたカテーテルで広げる治療法

血栓除去術

→血管につまっている血栓を吸引する治療法

ステント留置

→ステントと呼ばれる金属の管を留置して、血管を内側から裏打ちする治療法

治療前
(矢印の先がつまっています)

治療後
(ステントにより血流が再開しました)

検査・治療件数紹介

2021年度
(令和3年度)
2022年度
(令和4年度)
2023年度
(令和5年度)
脳外科アンギオ全件数 158 146 190
放射線科アンギオ全件数 117 83 95
循環器内科アンギオ全件数 455 451 450
他科全件数(CV・PICC等) 278 326 347
 緊急アンギオ件数(内訳) 152 187 163

 

TV・内視鏡検査の概要と目的

X線透視検査とは、主に一般のレントゲン写真では写らない部位を、造影剤(※)と呼ばれるものを使用して、X線透視のもと目的の部位を確認しながらX線写真を撮影していく検査です。またX線透視は、さまざまな検査や処置の補助的役割としても用いられています。

検査を受ける時の注意点

X線検査のため妊娠中やその可能性がある方は必ず事前に申し出てください。また造影剤を使用しますので、問診票も必ず記入をお願いします。検査は更衣をしていただきますので、あらかじめ更衣しやすい服装でご来院ください。その他、検査部位によってそれぞれ注意点が異なります。検査が安全に行われ、正しく診断が得られるように、注意事項を正しく守っていただきますようご協力ください。尚、検査予約時には注意事項等の用紙をお渡ししておりますので、よく読んで検査におこしください。

実際の検査について

各診療科が行う代表的な検査・治療をご紹介します。

【放射線診断科】

下咽頭、食道透視検査

前処置

特に注意事項はありません。

検査内容

造影剤を飲んでいただき、タイミング良く連続撮影等行っていきます。

胃十二指腸透視検査

前処置

胃の中に食べ物や飲み物が残っていては正しい検査ができません。検査前日の21時以降は絶食し、水、お茶等の飲食をしないでください。血圧、心臓等のお薬の服用は医師の指示に従ってください。検査直前には胃の動きを一時的に抑える薬を筋肉注射します。

検査内容

バリウム等の造影剤を飲んでいただき、食道から胃、十二指腸へ造影剤の流れに合わせ、体の方向を変えながら写真を撮ります。検査後はバリウムが腸に残らないように下剤をお渡しします。

注腸検査

前処置

大腸の中に便が残っていては正しい検査ができません。検査2日前に下剤を飲み、検査前日は検査食を召し上がってください。お薬などを服用している方は医師の指示に従ってください。

検査内容

バリウム等の造影剤を直腸から管を使って注入し、体の方向を変えながら写真を撮ります。検査後はバリウムが腸に残らないように下剤をお渡しします。便はバリウムで白っぽくなっていますが、心配はありません。水分を多く取れば排泄は早くなります。

【泌尿器科】

RP,尿管ステント留置

内視鏡を使用し、腎臓、尿管・膀胱に細い管(カテーテル)を挿入して、造影剤を注入しながら詰まったり狭くなったりしていないかを調べたり、細い管(ステント)を留置することもあります。

【消化器内科】

ERCP(内視鏡的逆行性膵胆管造影)

内視鏡を使用し、胆汁と膵液の出口にあたる十二指腸乳頭部と呼ばれる部分に細い管を挿入し、造影剤を注入しながら胆管、膵管を写し出す(造影する)検査です。胆管が、結石やその他の病気のため、詰まったり狭くなっていないかを調べる検査です。

ENBD(内視鏡的経鼻胆道ドレナージ)

胆管が詰まって黄疸症状があるときに、ERCPと同様な経路で検査を行い、胆管から鼻にかけて細い管を通し、その管から胆汁を排出する治療です。
その他にも消化器内科では、食道、胃、十二指腸、大腸、胆管、膵管、静脈など、様々なトラブルに対する検査、治療時にこの多目的室を使用しています。

【整形外科】

ミエログラフィー(脊髄腔造影)

腰の背中側から細い針を脊柱管に刺して造影剤を注入し、脊柱管をX線写真として描出する検査です。背骨の様々な病気のため、脊髄の通っている管がどこでどれくらい狭くなっているのかを診断する検査です。

アルトログラフィー(関節腔造影)

関節内に造影剤を注入し、関節の病気で関節液が漏れていないかを診断する検査です。
その他にも整形外科では、診断にとどまらず骨折・脱臼の整復などの治療にも使用されています。

【呼吸器内科】

ブロンコファイバー(気管支内視鏡)

気管や気管支を直接観察、診断する内視鏡です。X線写真で肺の病気が見つかったときに、この内視鏡で組織を採取するのに使用されています。

装置の紹介

 

富士フィルムヘルスケア社製 CUREVISTA Apex

富士フィルムヘルスケア社製 VersiFlexVISTA

大視野FPDを搭載

X線検出器にFPD(Flat Panel Detector:平面検出器)を搭載しています。FPD搭載とデジタル画像処置技術により、高画質と低被ばくを両立した画像を提供しています。

多彩な検査に対応

従来の装置では不可能であった多彩な透視検査に対応にすることが可能になりました。DSA (Digital Subtraction Angiography)機能も装備しているため、血管の撮影を行うことも可能です。救急患者さんの検査にも迅速に対応します。

検査人数(主な検査)

※ 表の内容が全て表示されていない場合は、横にスライドしてください。

2021年度
(令和3年度)
2022年度
(令和4年度)
2023年度
(令和5年度)
上部消化管検査 113 104 78
下部消化管検査 145 107 101
外科・消化器外科検査(処置) 134 89 95
泌尿器科・産婦人科検査(処置) 816 845 723
内視鏡検査 913 816 864
経皮的処置 182 171 177
整形外科検査(処理) 202 158 191
その他造影検査(処置) 220 198 152

ESWL(体外衝撃波結石破砕術)の概要と目的

ESWLとは?

体外衝撃波結石破砕術のことです。簡単に説明しますと、衝撃波を体内の結石に当て破砕するものです。結石に対して衝撃波を繰り返して当てることで結石は砕けて砂状になり、尿と一緒に排泄されます。

特徴
  • ・開腹手術を行わず治療できるので、体に傷痕が残りません。
  • ・早ければ治療の翌日から普段の生活や職場への復帰が可能となります。
  • ・治療時間は約90分程度です。
  • ・衝撃波による痛みが多少強い場合には、鎮痛薬の投与を行いますのでご安心ください。
  • ・過去に結石破砕をされた方でも、再発例に有効です。

結石破砕前

結石破砕後

注意事項

衝撃波の通過する背中に、皮下出血がみられることがありますが、数日で消失します。また、ほとんどの患者さんで治療直後に血尿が出ますが、数時間で収まります。腎結石の破砕をされた方で、血尿が翌日まで続く場合や背中に痛みを伴う場合には、腎臓の臓器自体が傷ついていることもあり、治療が必要となる場合があります。 ※腎臓の結石については、衝撃波のパワーと回数を制限し、安全に治療を行っております。

機器紹介

装置は、ドルニエメドテックシステムズ社製 Lithotripter SⅡ が稼動しています。当院の装置では、X線透視下において石だけを狙い正確に治療しています。また、結石の破砕状況もリアルタイムに観察できます。 

Lithotriper SII

衝撃波ヘッド

検査人数
2021年度
(令和3年度)
2022年度
(令和4年度)
2023年度
(令和5年度)
ESWL(件) 233 214 201

検査の概要と目的

MRI装置は中心に穴のあいた大きな磁石と考えてください。この大きな穴の中に体を入れて、それからFMラジオに用いられる電波を体に当てて、体の中の様子を画像化(写真)する検査です。体のタテ方向、ヨコ方向、ナナメ方向などの任意の切り口の断面の鮮明な断層写真が得られ、診断に大変役立つ検査です。また、放射線を使っていないので被ばくする心配はありません。しかし、磁力の向きを変化させていく為に工事現場のような大きな音が発生します。部位によって検査時間は異なりますが、概ね30分程度です。

機器紹介

当院では、3T(テスラ)の装置2台で運用しています。2台ともSiemens社製で1台は2021年3月に更新・稼動した新しい装置です。どちらも全身の検査部位に対応しています。また、装置のガントリー径(撮影する筒の中)が70cmとCT並みの広さであり、奥行も短いため閉塞感が軽減されています。

MAGNETOM Skyra 3T
(Siemens)2011年更新・稼働

MAGNETOM Vida 3T
(Siemens)2021年更新・稼働

検査を受ける時の注意点

金属は検査の妨げになりますので、検査部位に関わらず以下のものは取り外してください。

  • 貴金属(時計、指輪、ネックレス、イヤリング、ヘアピンなど)
  • 眼鏡、補聴器、入れ歯、エレキバン、カイロ、ニコチンパッチなど
  • 金属のついている下着(ブラジャー、スリップなど)
  • 金属を含む化粧品(マスカラ、制汗剤等)や増毛スプレーは検査当日の使用を控えて下さい。
  • 一部のコンタクトレンズ
    (保存ケースや眼鏡等をご用意ください)

次のような方は検査ができない場合がありますので、必ず事前にお知らせください。

  • 心臓ペースメーカー、人工内耳などの医療機器を埋め込まれている方(*MRI対応であっても、当院の整備体制から検査を受けられない場合があります)
  • シャントバルブ挿入中の方(*脳外科による確認が必要になります。また、当院の整備体制から検査を受けられない場合があります)
  • 外傷や手術で人工関節や脳動脈クリップ、金属ステントなどの金属が体内にある方
  • 妊娠中もしくは妊娠している可能性のある方、授乳中の方(*妊娠13週までの方は検査を受けられません)
  • 閉所恐怖症など狭い場所が苦手な方
  • 入れ墨、アートメイクのある方
    ※また、この他にも安全に検査を受けられないと判断した場合、検査を中断、中止することがあります。あらかじめご了承ください。

検査内容

頭部MRI検査

仰向けで寝ていただき、検査内容にもよりますが概ね15分~30分の検査です。 頭をセンサーの中に入れて寝転んでいただきます。頭を動かさないようにお願いします。狭いところが苦手な方は申し出て下さい。

脊椎MRI検査

仰向けで寝ていただき、概ね30分程で終了します。体を動かさないようにして下さい。

上腹部MRI検査

仰向けで寝ていただき、息を止める検査と息を止めない検査があります。また、検査室に入る前に、お薬(造影剤)を飲んでもらう場合や、造影剤投与のための注射をする場合があります。息止めはその都度声をかけます。検査時間は15分~45分です。

下腹部MRI検査

腸の動きによって画像がボケる場合がありますので、検査室に入る前に、腸の動きを弱めるお薬を注射後、検査室に入り仰向けで寝ていただきます。検査は15分~30分で終了します。妊娠中、またはその可能性のある方、授乳中の方は申し出て下さい。

両側乳房検査

うつ伏せで寝ていただき概ね45分で終了します。両側同時検査をおこなっており早期発見治療に貢献できます。

心臓検査

仰向けで寝ていただき検査内容によりますが概ね30~60分程度で終了します。心筋検査や冠動脈検査の他に、心筋の線維化などを可視化する定量検査なども可能になりました。また、以前は撮影の際にたくさん息を止めて頂く必要がありましたが、息止めに不安がある方でも良好な画像を得ることが可能となりました。

その他特殊検査

頭部検査は3Tの高磁場を活かして様々な検査が可能になりました。

MRS(スペクトロスコピー)、DTI(拡散テンソル画像)、ASL(非造影のパーフュージョン)、造影剤を使用せずに四肢や上腹部の血管撮影も可能です。また、身長が205㎝までの患者さんであれば全身の検査が可能です。

その他MRI検査

お薬(造影剤)を使う場合や、心電図のシールを貼らしていただく場合など様々な検査がありますので、その都度、検査担当の放射線技師が説明します。

検査件数

2021年度
(令和3年度)
2022年度
(令和4年度)
2023年度
(令和5年度)
全検査数(件) 11,676 11,425 11,653
造影なし(件) 9,344 9,199 9,252
造影あり(件) 2,332 2,226 2,401

放射線治療は、放射線治療医、看護師、外来クラーク、放射線技師、医学物理士で行っています。医師は診察を行い、治療方針を決め、その後の診察を行っていきます。看護師は治療期間を通して患者さんに寄り添い、ケアします。放射線技師は治療計画どおり正確に放射線を照射し、かつ治療機器の精度管理を医学物理士と行っています。放射線治療部門は患者さんの病気を克服できるようスタッフが力を合わせて取り組んでいます。

「放射線治療とは?」

放射線治療は、レントゲン撮影やCTなど診断領域で用いる放射線よりも高いエネルギーの放射線を病巣に限局して照射することにより、がん細胞の細胞分裂を妨げ、死滅させる治療です。一般に、がん細胞は放射線の影響を受けやすく、また損傷からの回復する力も正常な細胞より低いので、この差を臨床的に応用して放射線治療は行われています。放射線治療は、手術的切除による傷跡が残るような形態の変化や臓器機能の損失を避けること(形や機能の温存)が可能で、身体への負担も少なく、高齢で手術が受けることが難しい方でも治療できることが多いです。

放射線治療の進め方

  • 診察

    放射線治療の専門医が患者さんを診察します。病気の性質や検査結果、患者さんの体の状態をもとに最適な治療方法を決めていきます。この時に治療部位を決定し、与える放射線の量や治療期間などを決定していきます。当院では、迅速な対応を心掛けており、治療方針が決定しましたら早期に治療を開始できるよう努めております。

  • 治療計画

    患者さん一人ひとりに合わせた治療範囲や放射線のあてる方向等を決めるためにCTを撮影し、治療計画を立てていきます。治療中の体の動きを防ぎ、再現性よく治療を行うために患者さん専用の固定具を作成します。頭頸部を治療される方にはShellというマスク型の固定具を作成します。体幹部を治療される方には、背中やお尻の型に合わせたベッド状の固定具を作成します。実際に治療を受けるときと同じ体位で固定具の作成をし、CTを撮影します。治療部位によっては、MRIを追加することもあります。治療内容によっては、計画に数日を要する事があります。

  • 治療開始

    放射線治療の照射は、放射線技師が行います。まず、体の位置や姿勢が治療計画のCT撮影時と同じになるように寝ていただきます。次に、照射前に正確な位置を確認するために、X線撮影をします。計画画像との位置照合を行い、病巣や正常組織等のズレを確認・調整し、治療計画と一致した事を確認し、実際の治療を行います。次回以降のために、皮膚にマジック等で印をつけていきます。1回の治療時間は、治療内容によって異なりますが、概ね5分~15分です。初回の治療時のみ、通常より時間がかかります。

  • 診察

    治療期間中は週1回、終了後も定期的に診察を行って、治療効果の判断や副作用の有無をチェックします。

治療を受ける時の注意点

  • 治療開始の初日は、位置合わせのためにどうしても時間が掛かってしまいますので、時間に余裕を持ってお越しください。
  • 治療は月曜から金曜まで毎日行います。治療時間は、ご予約をお取りして原則同じ時間に行っていきます。ご都合の悪い場合は放射線技師にご相談ください。
  • 毎回の治療を正確に行うために体に印を書かせていただきます。この印は治療が終わるまで消さないようにお願いします。
  • 放射線治療によって皮膚がかゆくなったり、食欲が無くなったり、吐き気等の副作用がでることがありますが、治療中の一時的なものなので心配いりません。また、何か不安な点があればスタッフにご相談ください。 放射線治療は予定された一定の期間(2~7週間)行わないと効果が表れませんので、途中でやめないようにしてください。

機器紹介

放射線治療装置は、バリアン社製True Beamに更新を行い、2020年6月より稼働しています。更新後の装置の特徴を紹介します。

  • 治療ビームの追加
    従来の装置では、治療室の構造上の問題でX線では、1種類のエネルギーしかありませんでしたが、今回は、5種類のエネルギーが使用できるように部屋の遮蔽工事も行いました。これにより、治療部位や体型に合わせたビームの選択が可能になり、多様な治療が行えるようになりました。
  • MLC(マルチリーフコリメータ)の精度向上
    MLCと呼ばれるコリメータを内蔵しており、MLCを使い様々な照射野を形成して治療を行います。このMLCの幅が、従来の装置では1cm幅だったのですが、今回の装置では最小5mm幅になっており、より細かな照射野を形成することができるため、正常組織をより守ることが可能になりました。
  • IMRTの適応拡大と治療時間の短縮
    IMRT(強度変調放射線治療)は、多方向からMLCを複雑に動作させることによって、がん細胞だけに放射線を集中し、かつ正常な細胞への照射線量を可能な限り低減することができる高精度な治療方法です。治療装置の更新により、装置を回転させながらIMRT照射を行うVMAT(回転型強度変調放射線治療)が可能となり、旧装置のIMRT照射と比べて、様々な部位に対して照射が可能となり、また照射時間は半分以下と大幅に短縮しています。
  • IGRTの精度向上
    照射前に位置を確認するために行うX線撮影の画質が格段に向上しました。以前は、装置の構造上放射線治療で使用するエネルギーで撮影するしかなかったため、位置合わせに時間を要しましたが、今回は通常のレントゲン撮影と同等のエネルギーを使用可能になったため、鮮明な画像取得が可能になり位置の確認精度が向上します。さらにCT撮影も可能となり、骨だけではなく、臓器の位置ズレを修正して照射することができ、より治療計画に即した治療が可能になります。そして、ExacTracシステムというIGRT(画像誘導)に特化した付属装置も導入し、X線撮影時に同時2方向撮影が可能となりスループットの向上が期待できます。治療用寝台は、6軸に動かす事が可能となり、IGRTで得られたズレ量を正確に補正できるため、照射制度も格段に向上しています。
  • 呼吸同期システムを用いた放射線治療
    肺、肝臓、膵臓などの腹部領域のように呼吸移動が大きい体幹部放射線治療で有用とされ、今回導入された呼吸同期システムは自由呼吸下で一定の呼吸相のみに照射を行うものであり、腫瘍周囲にある正常組織への線量低減と腫瘍に限局した正確な照射が可能となります。
  • FFF(フラットニングフィルターフリー)ビームを用いた放射線治療
    主に体幹部定位放射線治療や呼吸同期照射において、高線量率照射モードであるFFFビームを用いることで、治療時間が短縮され、患者様の負担軽減、治療中の体動軽減等が期待できます。

放射線治療装置
True Beam(Varian社製)
(4,6,10MV X線、6~18Mev 電子線)

治療件数

2021年度
(令和3年度)
2022年度
(令和4年度)
2023年度
(令和5年度)
新患数(名) 363 336 356
延べ放射線治療件数(件) 8,779 8,300 8,609
 内訳高精度放射線治療件数(件) 3,306 3,677 4,758

 

核医学検査はどんな検査?

当院ではRI(アールアイ)検査と呼ばれています。 放射線(γ線)を放出するごく少量のくすり(放射性医薬品)を手や肘の静脈から注射し、検査用のベッドの上で静かに横になっている間に、ガンマカメラといわれる特殊なカメラで体の中の様子を撮影し画像を得る検査です。多くの検査は30分程度ベッドの上で静かに横になってもらっている間に終了します。くすりは静脈から注射するほかにカプセルを飲んだり、マスクをつけ呼吸により吸入してもらうものもあります。

核医学(RI)検査で何がわかる?

放射性医薬品が体のどの部分にどのくらい集まっているかを調べることで、体内の臓器の位置や形、大きさがわかり、これをもとに病気の有無を知ることができます。また、くすりの集まる時間と分布状態を調べることによってその臓器の働き(代謝や機能)を知ることもできます。

放射性医薬品とは?

普通の医薬品と異なり、放射線(γ線)を放出して減衰していくラジオアイソトープ(RI)を含む薬品で時間の経過とともに効力を失います。 体内に投与された放射性医薬品は外部から見えない病気の場所や臓器の状態を、放射線という信号を出して知らせてくれます。この大事な信号を受けて画像にしてくれるのがガンマカメラです。この信号は臓器の形や異常の有無にかかわらず、機能の異常を早期に知らせてくれます。 投与されたくすりは一度、目的の臓器や器官に集まりますが早いものでは数時間で、遅くても数日で信号(放射線)が弱くなって無くなってしまいます。これはくすりが体から排泄されたり、アイソトープそのものが減弱するからです。

PET-CT検査とは?

PET検査とは、「陽電子放射断層撮影法(Positron Emission Tomography)」の略で、がん細胞が正常細胞よりも3~8倍のブドウ糖を多く消費することに着目した検査法です。この性質を利用して、ブドウ糖類似物質の薬剤であるFDGを注射し、全身のブドウ糖代謝を画像化します。一般にCTやMRI検査が、がんなどの大きさや形などの形態をとらえるのに対し、PET検査はがん細胞などの高まった代謝をとらえます。

当院の装置はこのPETとCTの一体型になった装置を使用しているため代謝情報と形態情報を同時にとらえることができます。またTOF(Time Of Flight)という機能を有しているため、これまでの装置に比べより正確な位置情報を得ることができます。 ただし、心臓など正常でも活発にブドウ糖代謝を行う臓器や、FDGの排泄の際に通り道となる腎臓、尿管、膀胱など、PET検査には向かない部位もありますし、あまりブドウ糖を取り込まない性質のがんもあります。また、アルツハイマー病の原因物質と考えられているアミロイドβプラークが、脳内に溜まっているかどうかを調べるための検査であるアミロイドPET-CTを2024年3月より施行しています。

PET-CT検査の流れ

検査当日は6時間前よりの絶食が必要になります。 なおこれには糖分を含む飲み物(ジュース)やキャンディ ー等の菓子なども含みます。また筋肉の炎症にも集まりやすい性質がありますので、 前日から当日は運動を出来るだけ控えて下さい。(アミロイドPET-CTの場合、絶食は必要ありません)

  • 検査前問診
    問診、身長体重、 血糖値の測定を行います。
  • 注射
    お薬は2ml程度ですのですぐに終了します。
  • 安静
    お薬が全身に回るまで1時間安静室にて待機していただきます。
  • 撮影
    20分から30分で終了します。
  • 追加撮像
    検査目的によっては2回目の撮影が必要になる場合があります。
  • 終了

まず検査の予約を

この検査は放射性医薬品という核医学検査専用のくすりを使用します。 放射性医薬品はそのほとんどが検査当日だけしか使用することができないため、病院内には在庫がありません。そのため検査前日に翌日使用する分だけを製薬会社へ注文し、当日の朝早くに病院へ届けてもらいます。 ですからまず検査の予約をとっていただき、使用するくすりの数量を把握したうえで余ったり、不足してしまうことがないように注文して取り寄せます。

核医学検査の流れ

  • くすりの投与
    ほとんどが静脈注射ですが、カプセルを飲んだり、マスクをつけ呼吸により吸入して行うものもあります。
  • くすりが目的の部位(臓器)に集まるまで待ちます。
    検査によって投与直後から、または数時間(場合によっては数日)後に撮影を行うものがあります。

    • 撮影(検査用のベッドに仰向けになります。)
      検査中はベッドに寝てもらうだけですので、ほとんど苦痛はありません。
    • 撮影(装置が撮影部位まで移動します。)
      カメラが体のすぐそばまで近づきますが、きれいな写真を撮るために必要です。閉所が苦手な方は、あらかじめご相談ください。
    • 撮影
      時間をおいて撮影したり、カメラが体のまわりを回転して撮影したりします。検査により数分で終わるものから約1時間かかるものがあります。
  • 検査終了
    必要な撮影が終われば検査は終了です。得られた画像は専門医が詳しく調べ診断します。結果は後日、検査を依頼した主治医から説明があります。

使用機器

Siemens社製 Symbia Evo Excel

Siemens社製 Biograph Horizon

放射性医薬品による内用療法について

内用療法とは放射線治療のひとつです。放射性同位元素を組み込んだ薬剤を静脈からの注射やカプセルを飲むことによって体内に取り込み、目的部位を内側から治療します。
主に腫瘍細胞や甲状腺細胞を選択的に照射する治療で使用されており、当院ではI-131を用いた甲状腺癌の残存腫瘍に対するアブレーション治療や甲状腺機能亢進症の内用療法及び、α線放出核種であるRa-223を用いた去勢抵抗性前立腺癌の骨転移に対する治療も行っています。

主な検査の概要

骨シンチグラム

全身の骨の腫瘍や炎症、骨折などの診断ができます。

  • 薬の投与
    午前中
  • 検査開始
    投与3~4時間後から撮影
  • 前処置
    検査直前に排尿
  • 検査時間
    約45分

正常

異常所見あり
(立体的な画像でより診断しやすくなります。)

ガリウムシンチグラム

比較的短時間で頭から足まで全身の腫瘍や炎症の診断ができます。

  • 薬の投与
    検査日の3日前
  • 検査開始
    投与から3日後に撮影
    注射が月曜日の場合→検査は木曜日
    注射が火曜日の場合→検査は金曜日
  • 前処置
    検査前日夜に下剤を服用
  • 検査時間
    約45分

正常

異常所見あり
(立体的な画像でより診断しやすくなります。)

脳血流シンチグラム

認知症、脳梗塞、脳腫瘍などさまざまな病気でおこる脳内の血流の異常が診断できます。

  • 薬の投与
    検査開始時
  • 検査開始
    投与と同時に撮影
  • 前処置
    検査直前に排尿
  • 検査時間
    約45~60分

認知症診断の症例

統計機能解析

心筋血流シンチグラム

狭心症や心筋梗塞など、血液の足りない心臓の筋肉はどこで、その筋肉は治療で治る見込みがあるかを診断する検査です。

  • 薬の投与
    午前・午後の2回
  • 検査開始
    午前は15~30分後、午後は30~60分後に撮影
  • 前処置
    午後のみ撮影までの待っている時間に牛乳などの乳製品を服用。(心臓をきれいに撮影するため)
  • 検査時間
    午前は約1時間
    午後は約1~2時間(再投与から撮影までの待ち時間含む)

血流評価の症例

定量解析

新規検査のご紹介

当院では2014年1月に発売開始となりました「ダットスキャン静注」(日本メジフィジックス株式会社)を用いた「ドパミントランスポーターシンチグラフィ(DaTシンチ)」の検査を開始いたしました。

ドパミントランスポーターシンチグラム(DaTシンチ)

DaTシンチは脳内の黒質線条体ドパミントランスポーターを画像化する検査です。CTやMRI、脳血流SPECT検査では分からなかったドパミン神経の変性、脱落の程度を評価することが可能です。

既存の診断情報にDaTシンチを追加することによりパーキンソン症候群やレビー小体型認知症の診断に貢献することが期待されており、病気の早期診断や鑑別診断に役立つ検査です。

  • 薬の投与
    午前中
  • 検査開始
    投与3時間後から撮影
  • 前処置
    特になし(直前に排尿していただいた方がよいです)
  • 検査時間
    約30分
  • 検査を受けるには
    当院の神経内科を受診していただき、医師にご相談ください。

心筋交感神経シンチグラム

パーキンソン病や心不全など、心筋の交感神経機能を反映した画像を得ることができます。

  • 薬の投与
    午前中
  • 検査開始
    午前は投与15分後、午後は投与3時間後に撮影
  • 前処置
    検査終了まで絶食(水は可)
  • 検査時間
    午前は約1時間(投与から撮影までの待ち時間含む)、午後は約10分

正常

パーキンソン病の症例

注意事項

  • 検査に使用するくすりは、検査を受けられる患者さんの為だけに注文します。他の患者さんには使用することはできません。
  • 万一キャンセルされる場合は検査前日までに当院地下放射線受付までご連絡ください。
  • 無断で検査をキャンセルされた場合、おくすり代を負担していただく場合があります。
  • 検査によっては一日に何度か撮影をするものもあります。何時間か時間をあけることもありますのでご了承ください。
  • 更衣が必要な検査もあります。(全身の検査など)
  • つぎのような方はあらかじめ医師にお知らせください。
    • 妊娠中、または妊娠している可能性がある女性
    • 授乳中の女性
      (数日間~数週間、赤ちゃんに母乳を与えるのを避けたほうがよい場合があります)
    • 乳幼児がいる女性
      (赤ちゃんを抱くのを半日程度は避けたほうがよい場合もあります)
  • その他ご不明な点は遠慮なくお問い合わせください。

検査件数

2021年度
(令和3年度)
2022年度
(令和4年度)
2023年度
(令和5年度)
全検査件数 2,483 2,124 2,090
内訳 521 426 347
441 332 382
心臓 247 229 231
その他 38 16 51
PET-CT 1,202 1,087 1,075
放射性同位元素内用療法 5 9 4

受診について

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