昨年は手術数が大きく増え、コロナ前のレベルに回復しました。中でも高齢者の骨折(脊椎、大腿骨、前腕骨、上腕骨など)、とりわけ大腿骨近位部骨折の患者さんが増え、昨年1年間で152件の手術を行い、これまでの最多記録を大幅に更新しました。新型コロナウイルスの流行期間中に外出する機会が減ったため、運動量や歩く量が減り足腰が弱くなった人が多いのではないでしょうか。さらに高齢化が進み、認知症や思い併存疾患を持つ人が増えています。
当院では10年以上前から周辺医療機関と協力して地域連携パスを共有し、術後の転院やリハビリテーションを円滑に進めて治療成績の向上につなげられるように努めています。また、できるだけ早く手術を行うように心がけており、半数以上の方を受傷後48時間以内に手術しています。
手術で骨折を確実に治療し、その上でリハビリテーションを十分行って歩行能力の再獲得を目指します。反対側の大腿骨も骨折すると歩行能力がさらに低下するため、再骨折を予防することが重要です。転倒しないように気を付けることはもちろんのことですが、骨折するまで骨粗鬆症の診断や治療を受けておられない方が多いので、内服薬や注射での治療を始めます。症状が安定次第、お近くの医療機関にご紹介して骨粗鬆症の継続治療をお願いしています。