病理診断科(びょうりしんだんか)は、患者さんが直接受診する診療科ではありません。患者さんから採取された体の一部(組織や細胞)を顕微鏡で詳しく調べ、「最終的な病気の診断」を下す専門の診療科です。患者さんの病気を正確に診断し、適切な治療につなげるために欠かせない役割を担っています。
私たちは、主治医(内科や外科の医師)と緊密に連携しながら、地域の患者様へ最適な治療をお届けするため、主に次の4つの業務を行っています。
内視鏡検査や手術、または外来の検査などで採取された、体の一部の「組織(臓器の一部)」を調べる仕事です。
採取された組織は、そのままでは顕微鏡で見ることができません。臨床検査技師が、組織を薬品で固め、極限まで薄くスライスし、見やすいように色を付ける(染色)といった、細かな特殊加工を何日もかけて丁寧に行います。
こうして完成した「標本」を、病理医が顕微鏡で観察して診断します。より詳しく調べるために、追加の検査や特殊な染色が必要になることもあり、患者様に結果が説明されるまでにどうしても1〜2週間ほどの時間がかかってしまいます。
手術の進行中に、外科の医師から依頼を受けて行う「スピード診断」です。
手術中に「病変がしっかりと取り切れているか」「がんの範囲がどこまで広がっているか/転移しているか」「手術前にがんかどうか判断がつかなかった病変の正体」などを調べます。
通常なら数日かかる標本作りを、液体窒素で急速に凍らせることで約20分に短縮します。完成した標本を病理医がすぐに顕微鏡で確認し、手術室の外科医へ電話で直接結果を伝えます。
※急いで作るため、時間をかけて作る通常の標本に比べると見づらい部分もありますが、手術方針をその場で決定するための極めて重要な情報となります。
甲状腺や乳腺に針を刺して取った細胞、痰(たん)や尿、子宮の擦過物(綿棒などでこすり取ったもの)などの中に含まれる「バラバラの細胞」を調べる検査です。
「1. 組織診断」のように塊で組織を切り取る必要がないため、患者様の負担が非常に軽いのが特徴です。
主に「良性」か「悪性(がんなど)」か判定するために使われます。ここで異常が見つかった場合、さらに詳しく調べるために「組織診断」に進むことがあります。
また近年では、患者様の細胞を使って「がんの遺伝子検査」を行うことも増えています。一人ひとりの患者様に最も効果のある抗がん剤(化学療法)を選ぶために、この細胞標本が役立てられています。
当院で病気のために亡くなられた患者様に対して、ご遺族のご承諾をいただいた上で行われる解剖です。
現代は画像検査などが発達していますが、解剖を行うことで初めて分かる事実もたくさんあります。より正確な死因や、生前に行われた治療がどれくらい効果を発揮していたかを客観的に検証します。
解剖当日は約3時間をかけて行われ、その後、顕微鏡による詳しい診断を含めて約2ヶ月かけて報告書を作成します。残念ながら最近は全国的に病理解剖が減っています。
得られた貴重な知見は、ご遺族の方に伝えられるだけではなく、主治医をはじめとする多くの医療スタッフが参加する「臨床病理検討会(カンファレンス)」で共有され、若手医師の研修や、これからの医療の発展に深く貢献しています。
皆様の治療を陰で支える「医師のなかの医師」として
私たち病理医が患者様と直接お会いする機会はほとんどありません。しかし、私たちが下す「病理診断」は、すべての治療(手術、抗がん剤治療、お薬の選択など)の決定的な根拠となる重要なものです。
実際に患者様の診察や手術を行う内科・外科の先生方と日々じっくりとディスカッションを重ねながら、地域の皆様が安心して最善の治療を受けられるよう、顕微鏡の向こうから全力で医療を支えています。
ひょうどう としき
兵頭 俊紀
平成27年 卒
| 役職 |
副医長 |
|---|---|
| 専門分野 |
非腫瘍性腎疾患(糸球体疾患) |
| 資格 |
病理専門医 細胞診専門医 死体解剖資格 |
いのうえ えいき
井上 英軌
令和2年 卒
| 役職 |
医員 |
|---|---|
| 専門分野 |
病理全般 |
| 資格 |
病理専門医 死体解剖資格 |
よしだ もとい
吉田 征以
令和5年 卒
| 役職 |
医師 |
|---|---|
| 専門分野 |
病理診断 |
西神戸医療センターの病理診断科は病理診断科に所属する医師が診断業務を担当しています。標本の作製、細胞診断の一次診断を臨床検査技術部の臨床検査技師、細胞検査士が担当しています。常勤病理医は現在3名(うち専門医2名)、臨床検査技師7名(うち3名は細胞検査士資格有)です。2025年度実績は組織診断9,733件、迅速診断314件、細胞診5,570件、病理解剖5件です。

