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病理診断科

病理診断科

ご挨拶

診療科の概要

病理診断科は患者さんが直接受診される科ではありませんが、患者さんにとって重要な情報を提供しています。主には患者さんの体から取られてきた臓器、または臓器の一部や細胞に、癌などの異常が無いか、顕微鏡を用いて調べ、報告することをしています。

診療科の特徴

病理診断科で行っている仕事は具体的に次の4つです。

1.組織診断

 生検(胃や大腸の内視鏡検査を行った際などに臓器の一部を小さく取ってきたもの、あるいは乳腺、肝臓、腎臓などの臓器に体の外から針を刺して臓器の一部を小さく取ってきたもの(組織と呼びます))や手術で取られてきた色々な臓器を調べます。顕微鏡で調べるには、取られてきた臓器の一部、あるいは全部を固めて(固定、包埋)薄く切り(薄切)、色を付ける処理(染色)が必要で、これらに数日かかります。この過程は臨床検査技師が行っています。完成した標本を病理診断科の医師(病理医)が顕微鏡で観察して診断します。そこからさらに、詳しく診断するために追加で薄切、特殊な染色が必要である場合もあります。内視鏡検査や針生検、入院して手術をしたあと、とられた組織の診断結果が説明されるまでに12週間、あるいはそれ以上かかるのはそのためです。

2.術中迅速診断

 手術の際に切除範囲を決定する場合や、病変が確実に取られているかを調べる場合、また手術の前には癌かどうか決定できていない場合などに、手術中に臓器の一部を取ってきて、液体窒素で急速に凍らせて薄切し染色して、20分程度で標本を作って診断し、直接手術をしている外科の先生に電話で連絡することです。通常は数日かかる顕微鏡観察のための標本作成処理を、20分程度に短縮しているために、数日かけて作られた標本に比べると観察が難しい場合もありますが、ある程度の判断が可能です。術中迅速診断を通して、手術をする外科の先生の、手術方法の決定の元となる情報を提供しています。

3.細胞診断

 甲状腺や乳腺からの針を刺して採取された細胞、痰の中の細胞、子宮などから綿棒で取られてきた細胞、尿、腹水や胸水中の細胞を診断することです。これらの細胞は液の中に浮かぶなどしてばらばらになっているため、上記「組織診断」と同じような標本は作れません。細胞全体を固めて染色して、細胞の内部を観察します。剥がれ落ちてきた細胞ですので、組織診断のように最終診断になることは多くはありませんが、採取する方法が患者さんの負担が少ないために、よく行われます。細胞診断のあとに、組織診断が必要となる場合もあります。詳しい腫瘍の名前を決定する、というよりは、主に「良性」「悪性」の判定に使われます。

4.病理診断

 病院の中で病気のために亡くなられた場合、正確な死因を調べるために行われる解剖のことです。近年は画像検査など、生前に行われる検査が発達していることもあり、死因はある程度分かっていると考えられることが多いのですが、病理解剖を行うことで明らかになることはたくさんあります。治療にあたられた内科、外科の先生、ご遺族の方に、より正確な死因や、生前に行われた治療の効果などを正確にお伝えすることができます。病理解剖は承諾解剖で、ご遺族の承諾が無ければ行えません。最近は全国的に病理解剖が減っています。解剖は亡くなられた当日、休日の場合は次の平日に3時間程度かけて行われ、その後に全身の臓器から必要な組織を採取し、標本を作製して顕微鏡的に診断し、病理解剖報告書を2ヶ月程度かけて作成します。解剖させていただいた貴重な症例は、主治医をはじめとした病院の多くの関係者に向けて臨床病理検討会が実施され、研修医を含めた臨床医の研修に役立てられています。

我々病理医は、上の4つの仕事を通して、患者さんの病気についての情報を提供しています。実際に内視鏡、生検、手術、治療されている内科、外科の先生達と時には話しあいながら、地域の患者さんの治療のお役に立てるように、日々努めています。

  • かんざわ まき

    神澤 真紀

    平成19年 卒

    役職

    医長

    専門分野

    病理全般、内分泌臓器

    資格

    病理専門医

    細胞診専門医

    分子病理専門医

    死体解剖資格

  • さが のぶゆき

    佐賀 信之

    平成22年 卒

    役職

    医員

    専門分野

    病理全般、腎臓

  • くさかべ かおり

    草壁 香帆里

    令和2年 卒

    役職

    医員

    専門分野

    病理全般

実績

 西神戸医療センターの病理診断科は病理診断科に所属する医師が診断業務を担当しています。標本の作製、細胞診断のスクリーニングを臨床検査技術部の臨床検査技師、細胞検査士が担当しています。常勤病理医は現在3名、臨床検査技師6名(うち3名は細胞検査士資格有)です。2023年度実績は組織診断10271件、迅速診断313件、細胞診6045件、病理解剖4件です。

受診について

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