形成外科=「見える部分の外科」であり、身体表面に生じた異常や整容的な不満足に対して治療を行います。外科系診療においては「病気を治す」だけではなく、よりきれいに治療することも求められます。当院では2016年から常勤医での診療体制となり、日帰り手術や入院手術を実施してきました。守備範囲は「頭のてっぺんからつま先まで」、体表面の悩みがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
形成外科は創傷治療を専門としています。ケガの初期治療から傷あとのケアまで一貫して行います。ケガをしたときに、傷をできるだけ早く、きれいに治します。傷あとが残りそうな場合は、テーピングを行い、傷あとが目立たないようケアします。皮膚表面の傷だけではなく、顔の骨の骨折についても治療します。
顔面だけでなく、手足や体の切り傷や擦り傷について治療します。また、皮膚や軟部組織の欠損を伴うような重度損傷、手指の切断、神経や腱断裂の手術を行っています。
熱傷は日常生活において最も多い外傷の一つです。できるだけ早く・キレイに治るように、処置方法について指導します。しかし、ヤケドの大きさや損傷の深さによっては、皮膚移植手術が必要となる場合があります。また、治った傷あとからひきつれを生じることがあるので、傷あとのケアも重要です。
ケガをした後の傷あとについては、テープや特殊な絆創膏で傷あとのケアを行います。赤くみみず腫れのように盛り上がる傷あとは「ケロイド」と呼ばれます。体質によっては傷あとが落ち着きにくい場合があり、飲み薬や注射などで治療します。保存的治療で効果がえられない場合は、手術を行います。手術と放射線の組み合わせは最も効果の高い治療法です。当院では放射線治療科と協力して、ケロイドの手術後に放射線照射を行い、良好な治療成績が得られています。
皮膚にできる母斑(ホクロ)や粉瘤・脂肪腫といった良性皮膚腫瘍の治療を行います。形成外科特有の細やかな縫合を行い、なるべく傷あとが目立たないよう努めています。小さい範囲のものは、局所麻酔の日帰り手術で行っています。また、皮膚がんの治療については、皮膚科と協力して診断・治療をすすめていきます。手術にあたっては、腫瘍の確実な切除を第一に考え、その上で傷あとが最大限目立ちにくいよう配慮しています。
生まれつき手の指や足の指が多かったり、くっついたりしている、多指(趾)症・合指(趾)の治療を行います。成長と共に、手指や足趾の変形が目立つ場合は、骨切りや骨延長術などの手術を行います。また、副耳や折れ耳・埋没耳など、生まれつきの耳の変形に対する治療を行います。まぶたが十分に持ち上がらない先天性眼瞼下垂症や眼瞼内反症(逆まつげ)などの目の治療を行います。生まれつきの「黒あざ」に対する切除手術や皮膚移植術を行っています。また、太田母斑や異所性蒙古斑などの「青あざ」については、最新型ルビーレーザーを用いた治療を行います。その他、体表面の変形に対して様々な治療を行っておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。
最新型ルビーレーザーの照射例
足の血管がこぶのように膨らみ、足がむくむ、だるい、疲れやすいなどの症状がでます。足の筋肉がつる、いわゆる「こむら返り」も起こりやすくなります。症状が重くなると、皮膚の色がかわり、皮膚潰瘍を形成する場合もあります。下肢静脈瘤は良性の病気ですので急に悪化することはなく、命の危険もありません。当院では、静脈エコーで評価した後、それぞれの患者さんに最適な治療を行っています。
がんの治療後に手足のむくみが生じて、リンパ浮腫と診断される患者さんがいます。リンパ浮腫に関しては、現在のところ確立された治療や予防法はなく、患肢挙上・安静・弾性ストッキングなどを用いた圧迫といった保存療法が行われてきました。しかし、このような従来の治療法では改善しないリンパ浮腫に対して、リンパ管-静脈吻合術を実施してむくみの軽減を図っています。
糖尿病や末梢動脈疾患などにより下肢に治りにくい傷をもつ患者さんが増加しており、放置すると下肢切断に至ってしまう場合があります。こういった患者さんでは複数の疾患を合併している場合が多く、単一の診療科では治療が困難であり各診療科の連携が重要となります。循環器内科、糖尿内科、腎臓内科、緩和ケア内科など各診療科と協力して、患者さんの歩行を守ることを優先して治療にあたっています。
眼瞼下垂症になると、まぶたが開きにくく、視野が妨げられ、眠たそうな印象になります。また、二重の幅が広くなる、眉毛をあげて物を見る、額にしわがよるといった容貌の変化が生じます。まぶたが下垂すると、まぶたを持ち上げる筋肉がより強く緊張するため、額や頭の筋肉、首から肩にかけての筋肉が連動して緊張し、頭痛や肩こりがおこると場合があります。当院では、まぶたを開きやすくするだけでなく、整容面や眼瞼形態の左右差にも配慮して手術を行っています。他に、逆まつげ、眼瞼内反症、眼瞼外反症など眼瞼変性疾患に対しても手術を行っています。
乳がん手術によって損なわれた乳房を元の形に近づけるために行う手術であり、乳腺外科と協力して治療を行っています。「乳房再建手術」には大きく分けて、患者さん自身のからだの組織を移植する方法と、人工物を挿入する方法があります。当院では、患者さまの希望に応じて自家組織再建と乳房インプラントでの再建、どちらの乳房再建手術にも対応しています。
その他、顔面神経麻痺に対する形成手術、陥入爪・巻き爪手術などを行っています。形成外科で扱う疾患については日本形成外科学会ホームページにも詳しく説明されておりますので、どうぞご参照ください。
形成外科治療の大部分は健康保険の範囲内で受けていただくことが可能です。
なお、当院では健康保険の適応外となる美容外科手術は行っておりません。
また、他院での美容外科手術後に生じた合併症や後遺症の対応も困難です。
おぐま たかし
小熊 孝
平成13年 卒
役職 |
部長 |
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専門分野 |
形成外科一般(特に創傷外科、皮膚腫瘍外科、こどもの形成外科、顔面の形成外科) |
資格 |
日本専門医機構形成外科専門医・指導医 |
ひらい えり
平位 恵梨
平成27年 卒
役職 |
副医長 |
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専門分野 |
形成外科一般(特にリンパ浮腫、下肢静脈瘤) |
資格 |
日本専門医機構 形成外科専門医 |
かみの さき
神野 咲
令和2年 卒
役職 |
専攻医 |
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専門分野 |
形成外科一般 |
のむら ただし
野村 正
平成9年 卒
役職 |
非常勤医師 |
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ー 形成外科新患者数
入院 | 外来 | 計 | |
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全身麻酔での手技数 | 195 | 195 | |
腰麻・伝達麻酔での手技数 | 7 | 3 | 10 |
局所麻酔・その他での手技数 | 40 | 217 | 257 |