視覚は人間にとって最も重要な情報収集経路です。約8割の情報は視覚から得られると言われています。その視覚に悪影響を及ぼす疾患全般を扱うのが眼科です。当院眼科は地域医療機関の先生方より選別された手術対象疾患、急性期治療や当院での検査を必要とする疾患を主に取り扱っております。常に診療技術の向上と医療機器の整備をはかり、高度な医療をご提供できるように努めております。
常勤医師4名、視能訓練士7名(常勤6名・非常勤1名)のスタッフ構成で診療を行っています。
当科の特徴は、手術を中心とした急性期医療を展開していることです。きめ細やかな診療と説明を心がけ、手術治療疾患を最重点としています。疾患数の多い白内障だけでなく、特に網膜剥離、増殖糖尿病網膜症などの硝子体疾患、緑内障の手術治療に積極的に取り組んでいます。手術対象疾患だけでなく、成人のぶどう膜炎、視神経炎、網膜静脈閉塞症を主とする網膜血管閉塞性疾患、加齢黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫などの投薬治療が主体となる疾患の治療にも取り組んでいます。
斜視、眼瞼(ただし、霰粒腫は行っています)や眼窩手術(ただし、生検は可能な範囲で行っています)、屈折矯正手術、角膜移植、涙道疾患は当院には設備がなく行っていませんので、他施設に紹介させていただいております。コンタクトレンズは第2、第4金曜日の午前中10時~11時に受付しておりますが、時間的な制限の関係でできるだけ通いやすい開業医の先生もご紹介しております。
白内障が進行すると、眼内のレンズ(水晶体)が混濁して視機能が低下し日常生活に不自由を感じます。白内障は水晶体を除去し、人工の眼内レンズに置き換える手術によって治療が可能です。当院では、年間約1,000件と多くの白内障手術を行っております。
眼内レンズには、保険適用の単焦点眼内レンズ、乱視矯正眼内レンズ、さらに選定療の多焦点眼内レンズがあります。患者さんの病状と生活スタイルやご希望を踏まえて最適なレンズを選択します。
術前検査として、光学式眼軸長測定装置で最新の精度の高い眼内レンズ度数計算式を用いております。症例に応じて前眼部OCTで角膜乱視成分のフーリエ解析を行い、さらに手術イメージガイドシステムで手術プランを立て、必要症例には乱視矯正眼内レンズを用いております。
なお、既に白内障が存在する方だけでなく、医学的理由から一部の緑内障や網膜硝子体疾患の手術時は、同時に白内障手術を行います。
黄斑前膜、黄斑円孔、増殖糖尿病網膜症、裂孔原性網膜剥離、硝子体出血など多くの網膜硝子体疾患に対して、広角観察システムを用いた低侵襲の25Gまたは27G小切開硝子体手術を行っています。
さらに、硝子体腔内に脱臼した眼内レンズや水晶体に対しても硝子体手術と眼内レンズ強膜内固定術を併用した術式で対応しております。
緑内障の治療原則は進行管理のもと、適切な眼圧下降治療を継続して行う必要があります。眼圧下降の第一選択は点眼治療ですので、まずはかかりつけ医の眼科医療機関で点眼治療を行っていただきますが、点眼治療で十分な眼圧下降が得られないときには手術療法が適応になります。当院では手術を必要とする緑内障に対して十分な検査を行い、症例に応じて線維柱帯切開術(谷戸式マイクロフックトラベクロトミー)、プリザーフロマイクロシャント手術、チューブシャント手術または線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)を選択し、原発閉塞隅角症などの疾患は病態に応じて白内障単独手術を選択します。
網膜中心部の黄斑部に病的血管が発生する滲出型加齢黄斑変性や、病的近視における脈絡膜新生血管は高度な視力障害をきたしうる疾患です。先進国では抗VEGF薬の硝子体注射による病的血管の成長抑制が標準治療となっています。また、抗VEGF薬硝子体注射は糖尿病黄斑浮腫や網膜静脈閉塞症にともなう黄斑浮腫による浮腫抑制の標準治療にもなっています。さらには血管新生緑内障の治療の一助にも使用されます。高い効果が見込める治療ですが、治療効果は持続しないため病状が安定するまで定期検査と継続治療を行っていく必要があります。当院では通常の眼科検査に加えて、共焦点走査型ダイオードレーザー検眼鏡(ニデック社製、ミランテ)と光干渉断層計(ハイデルベルグスペクトラリスHRA+OCT)を用いて詳細に病状を把握しながら治療を行っています。
ぶどう膜炎や内眼術後の黄斑浮腫に対して、ステロイド(トリアムシノロン)後部テノン嚢下注射を行っています。
糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症などの眼内の酸素不足の是正や、網膜裂孔の凝固などに網膜レーザー光凝固術を行っています。
白内障術後にレンズを挿入した水晶体嚢が混濁する後発白内障には、YAGレーザー後嚢切開術手術を行っています。
当院では地域の中核病院かつ急性期病院としての役割を担うべく、眼科の初診は地域の眼科からの紹介状持参かつ地域医療室経由で予めご予約をお取りいただきました患者さんに限らせていただいております。高度急性期治療や、当院での検査が必要な病状の方へ診療時間を割くことを目的としております。当院眼科での急性期の治療が終了し症状が安定されれば、再び近隣の通院しやすいご開業医に逆紹介させていただいております。
なお、一度通院されていた患者さんも、治療が終了して次回の予約が無ければ初診となり、他医療機関の眼科からの紹介とご予約が必要です。
ご予約をお持ちの再診患者さんのご予約内容の変更相談は、平日の日中の時間内に病院までご連絡ください。病状に応じて対応をさせていただきます。
ご迷惑をお掛けしますが、ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
当院へご紹介の患者さんは地域医療室の連携システムをご利用ください。
また、当日に急を要する患者さんのご紹介時、手術室や病棟との調整が必要となりますので、まずは地域医療室までお電話をお願い致します。可能な限り対応致します。
外来の予約時間は、医師の診察開始時間ではなく、看護師の問診や視能訓練士による検査開始時間とご理解ください。視能訓練士による初回検査後、医師が診察致します。医師の診察後、病状に応じて複類の追加検査を視能訓練士が行います。眼科の検査は多岐にわたり、病状は個人差があり、診察、検査時間以外にも説明を長時間必要とする患者さんも珍しくありません。高齢化に伴い眼科疾患は増加する中で当院眼科は神戸西地域の地域医療を守るべく、ご開業の先生方と連携を取り、急性期治療を要する患者さんを中心に医療展開させていただいております。外来の状況や病状によっては一日がかりになることもありますので、受診日はスケジュールに余裕をもってご来院ください。
眼科を受診される方は、病状により追加検査を行います。白内障の申し込み時、飛蚊症、糖尿病を含む網膜出血、網膜剥離、緑内障などの眼底疾患などを詳しく検査するためには、散瞳剤を用いた眼底検査が必要です。個人差もありますが、点眼後の約4時間はピントが合いにくいなどの視力低下感が持続します。その後、視力低下感は徐々に消失しますので心配はありませんが、受診の当日は車を運転してのご来院はご遠慮ください。また、散瞳効果の残っている間は、車の運転以外に細かい操作をする仕事が困難になります。
なお、子供さんの屈折異常などの検査時も、散瞳剤を使用する場合があり、大人と散瞳剤の種類が違いますので、点眼後に薬の効果が発現し検査できるまでに1時間程度必要とします 。
フルオレセイン・インドシアニングリーン蛍光眼底撮影装置、光干渉断層計(ハイデルベルグスペクトラリスHRA+OCT、自発蛍光撮影、レッドフリー)、超音波診断装置(A・Bモード)、超音波生体顕微鏡(UBM)、多局所網膜電図、網膜電図(最大応答・30Hzフリッカー・錐体・杆体)、視覚誘発電位(VEP)、眼底カメラ撮影装置、共焦点走査型ダイオードレーザー検眼鏡(ニデック社製、ミランテ)、前眼部OCT、角膜内皮計測装置、ハンフリー自動視野計、ゴールドマン視野計、アイケア、光学式眼軸長測定装置、手術イメージガイドシステム(アルコン社製べリオン)、大型弱視鏡、マルチカラーレーザー装置、YAGレーザー装置など
眼科手術顕微鏡(カールツァイス社製OPNI Lumera700)、超音波白内障手術装置(アルコン社製センチュリオン)、手術イメージガイドシステム(アルコン社製べリオン)、硝子体手術装置(アルコン社製コンステレーション)、広角観察システム(カールツァイス社製リサイト)、眼科用冷凍凝固装置、半導体レーザー、トラベクトームなど
みかわ あきこ
三河 章子
平成9年 卒
役職 |
部長 |
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専門分野 |
網膜硝子体手術・難症例白内障手術 |
資格 |
日本眼科学会専門医 視覚障害者補装具適合判定医師 臨床研修指導医 眼科PDT(光線力学療法)認定医 |
のだ かずのり
野田 和誉
平成27年 卒
役職 |
副医長 |
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専門分野 |
網膜硝子体・緑内障・白内障手術 |
資格 |
日本眼科学会専門医 眼科PDT(光線力学療法)認定医 |
つつみの あきひろ
堤野 晃宏
平成31年 卒
役職 |
専攻医 |
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専門分野 |
白内障手術・黄斑疾患・網膜硝子体疾患 |
資格 |
視覚障害者補装具適合判定医師 |
きし ゆうか
貴志 友香
令和2年 卒
役職 |
専攻医 |
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専門分野 |
白内障手術・黄斑疾患・網膜硝子体疾患 |
資格 |
視覚障害者補装具適合判定医師 |
診療室 | 月曜 | 火曜 | 水曜 | 木曜 | 金曜 |
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402 | 三河 | 堤野 | 三河 | 貴志 | 野田 |
403 | 貴志 | 交替 | 野田 | 交替 | 堤野 |
特殊外来 | 視機能検査 | 午後:FA/ICGA (蛍光眼底 造影検査) |
視機能検査 | 午後:FA/ICGA (蛍光眼底 造影検査) |
視機能検査 |
術式 | 件数(2023年度) |
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白内障手術 | 単独1029(同時含む1143) |
硝子体手術 | 100 |
網膜復位術 | 3 |
緑内障手術 | 67 |
その他(硝子体注射以外) | 29 |
合計 | 1228(同時含む1342) |