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薬剤部

薬剤部

  1. スタッフ紹介

    薬剤部長 森本 茂文

    専門資格 日本医療薬学会 医療薬学指導薬剤師
    日本医療薬学会 医療薬学専門薬剤師
    日本医療薬学会 がん指導薬剤師
    併任等 大阪薬科大学博士(薬学)
    兵庫県病院薬剤師会常任理事
    神戸市看護大学大学院非常勤講師
    大阪薬科大学特別講師
    全国都市立病院薬局長協議会副会長

    副薬剤長 奥野 昌宏

    専門資格 日本医療薬学会 医療薬学指導薬剤師
    日本医療薬学会 医療薬学専門薬剤師
    日本薬剤師研修センター 認定実務実習指導薬剤師
    兵庫県喘息死ゼロ作戦 認定吸入インストラクター
    併任等 兵庫県病院薬剤師会代議員
    神戸女子大学特別講師

    松岡 勇作

    専門資格 日本医療情報学会 医療情報技師
    日本薬剤師研修センター 認定実務実習指導薬剤師

    スタッフ

    常勤薬剤師 28名
    レジデント 2名
    非常勤薬剤師 8.2名
    CRC 1名
    非常勤事務 3.6名
    業務委託スタッフ 3.6名

    薬剤部長のごあいさつ

    西神戸医療センター薬剤部の薬剤師は、「患者さんのため」「医師の負担軽減」「適切な病院運営への貢献」をモットーに全員が力をあわせてその専門性を発揮し、安心で安全な薬物治療を提供できるように努めています。
    様々なチーム医療にも参画し、そこでも薬の適正使用に関して専門家として活躍をしています。

    専門薬剤師・認定薬剤師

    2023年度・薬剤師の取得資格 人数
    日本医療薬学会 医療薬学専門薬剤師 2名
    日本医療薬学会 医療薬学指導薬剤師 2名
    日本医療薬学会 がん指導薬剤師 1名
    日本医療薬学会 がん専門薬剤師 2名
    日本病院薬剤師会 がん薬物療法認定薬剤師 2名
    日本病院薬剤師会 日病薬認定指導薬剤師 4名
    日本病院薬剤師会 生涯研修認定薬剤師 5名
    日本病院薬剤師会 日病薬病院薬学認定薬剤師 17名
    日本臨床腫瘍薬学会 外来がん治療専門薬剤師 1名
    日本臨床腫瘍薬学会 外来がん治療認定薬剤師 2名
    日本臨床栄養代謝学会 栄養サポートチーム専門療法士 3名
    日本臨床栄養代謝学会 臨床栄養代謝専門療法士
               (がん専門療法士)
    1名
    日本緩和医療薬学会 緩和薬物療法認定薬剤師 3名
    日本化学療法学会 抗菌化学療法認定薬剤師 2名
    日本医療情報学会 医療情報技師 2名
    日本糖尿病療養指導士認定機構 糖尿病療養指導士 5名
    日本老年薬学会 老年薬学認定薬剤師 4名
    日本薬剤師研修センター 認定実務実習指導薬剤師 11名
    日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師 8名
    日本薬剤師研修センター 小児薬物療法認定薬剤師 1名
    日本薬剤師研修センター 漢方薬・生薬認定薬剤師 1名
    日本くすりと糖尿病学会 糖尿病薬物療法履修薬剤師 2名
    日本アンチドーピング機構 スポーツファーマシスト 5名
    日本薬剤師会 生涯学習認定 JPALSレベル5 1名
    兵庫県薬剤師会 禁煙指導認定薬剤師 2名
    禁煙支援薬剤師 2名
    兵庫県肝炎医療コーディネーター 2名
    国際医療リスクマネージメント学会
    日本医療安全学会 医療安全認定臨床コミュニケーター
    1名
    国際医療リスクマネージメント学会
    日本医療安全学会 チーム医療安全推進者
    1名
    兵庫県喘息死ゼロ作戦 認定吸入インストラクター 2名
    日本臨床栄養協会 NR・サプリメントアドバイザー 1名

    認定施設

    • 日本医療薬学会 医療薬学専門薬剤師研修施設
    • 日本医療薬学会 がん専門薬剤師研修施設
    • 日本医療薬学会 薬物療法専門薬剤師研修施設
    • 日本医療薬学会 地域薬学ケア専門薬剤師研修施設
    • 薬学生実務実習受入施設

    薬局窓口

    薬局窓口は2階にございます。西側の1階正面玄関からエスカレーターを上がったところ左奥にすすみ右側にあります。西側の入り口から入るとそこが2階になり、そのまま中央フロワー右側にあります。患者支援センターと同じブース内にあり、患者支援センターのスタッフと協働しながら業務を行っています。

    業務内容

    1. 内服薬、外用薬調剤

    お薬の処方は、すべてオ-ダリングシステムによるコンピュ-タ-入力によって行われ、医師の処方入力時に相互作用・処方量などのチェックを自動で行っています。また入力時に様々な情報画面を自動的に表示させ医師に薬剤の情報を提供しています。

    外来
    • 外来患者さんのお薬は、原則、院外処方せんを交付しており、院外の薬局でのお薬の交付となっています。患者さんには「かかりつけ薬局」を決めることをお勧めしています。
    • 院外薬局の薬剤師からの院外処方せんの問合せ(疑義照会)は、全て薬剤部の薬剤師が受けております。情報を整理した上で医師に連絡して回答を得たり、薬剤師が回答できるケース(PBPM等)では薬剤師がその場で回答し、その後、医師にも情報を提供しています。
    入院

    医師が電子カルテで処方入力後、処方せん、薬袋、お薬説明書、お薬手帳用シール紙が薬剤部で発行されます。調剤では、全自動の錠剤自動分包機や散薬自動分包機、散薬や水薬の鑑査システムが常に連動して稼働しており、調剤の正確性と安全性の質を高めています。薬剤師は、処方せんに印字されている前回処方薬や患者の年齢、性別、血液検査値をチェックしながら、また時には診断名などを電子カルテで確認しながら、相互作用、用法、用量、処方日数の処方監査を行い調剤を実施します。疑問が生じた場合は直接医師に連絡し、相談しています(疑義照会)。また、患者さんが飲みやすいように朝・昼・夕など服用するタイミングごとに複数の薬を1つの袋にまとめたりしています(錠剤自動分包機による一包化)。

    (調剤室)

    (監査台)

    (錠剤自動分包機)

    (散薬監査システム)

    (散薬自動分包機)

    2. 注射薬調剤

    注射薬の医師の指示入力は、すべてオ-ダリングシステムによるコンピュ-タ-によって行われ、医師の入力時に相互作用・処方量・手技などのチェックを自動で行っています。調剤業務と同様の疑義照会を行い、配合変化等のチェックをしています。注射薬は、患者さんごと、1回使用ごとに袋に入れられ、さらに薬剤によっては病棟看護師向けの注意事項が記載された用紙も添付し、病棟に送られます。1回使用ごとに注射薬を袋に入れる注射薬自動分包機を可動させて、よりスピ-ディに、より間違いのない調剤を行っています。

    3. 注射薬無菌調剤

    注射薬の抗がん剤は、入院、外来問わず、薬剤部内および化学療法センターに併設された2ヶ所で、安全キャビネットを用いて無菌的に調製(ミキシング)しています。抗がん剤は、静脈炎など一般的な注射薬と比べて血管のトラブルが多い薬です。また、病棟で抗がん剤をミキシングすると、病棟スタッフだけでなく、患者さんにも抗がん剤が空気中に飛散して吸引してしまうリスク(抗がん剤の曝露)はゼロではございません。薬剤部で調製すること、および揮発性の高い薬剤だけでなく、全薬剤に対して曝露防止器具である閉鎖式薬物移送システムを使用することで、調製する薬剤師だけでなく、病棟や化学療法センターにいる医師、看護師、そして同室におられる他の患者さんにおける曝露をなくすとともに、無菌的に行うことで(静脈炎などに伴う)感染症のリスクも軽減させ、患者さんの合併症を未然に防ぐようにしています。また、高カロリー輸液(TPN)や一部のホルモン製剤についても、クリーンベンチにより無菌的に調製しています。

    4. 医薬品情報業務(DI業務)

    医薬品情報の発信は適時を逃すと医療の質が下がります。最新の医薬品情報を適時適切な方法で発信できるように常に情報を収集し、有効かつ安全に薬物治療が行えるように努めています。厚労省やPMDA(医薬品医療機器総合機構)などから医薬品の安全性情報などのニュ-スが全国に配信されたとき、その内容を全職員に送信しています。また医師や看護師など院内のスタッフから薬剤ついて質問・相談を受ければ全ての薬剤師が臨機応変に情報を発信しています。

    薬事委員会での新規採用薬の審議の準備や、院内で発生した副作用情報の収集も行い、医薬品情報にかかる種々の業務を行います。

    また、当院の医薬品集を適時に電子カルテで閲覧できるように更新させるだけではなく、ネット環境でも閲覧できるようにQRコードを発行し、全ての医療スタッフの薬物療法に関わる業務の質の向上に寄与しています。

    5. 薬剤師外来

    抗がん剤治療指導外来

    医師の依頼や患者さんの希望により、抗がん剤治療を予定または開始されている患者さんを対象に、外来の診察受付6番にある専用の診察室(薬剤師外来)で薬剤師が面談しています。医師の診察前や診察後に、患者さんへの抗がん剤投与スケジュールや薬の説明、予想される副作用とその対応、日常生活での注意点の説明を行っています。相互作用や副作用等のモニタリング(問題がないか)や患者さんの不安の有無などを継続的に確認しています。それらを医師に情報提供し、必要に応じて処方提案を行うことで、医師、看護師と連携してより安全で有効な薬物療法を目指していきます。抗がん剤を服用中の患者さんで、薬剤師との面談をご希望される方は医師にご相談下さい。

    (受付6番の案内表示)

    (入口)

    (診察室)

    薬剤師の外来診察同席業務(レブラミド外来)

    レブラミド、ポマリストという抗がん剤を服用している患者さんに対し、外来診察室で医師とともに外来診療を行っています。薬剤師は医師と患者さんと三者で話し合いながら、その場で使用量の変更、休薬期間の設定、副作用予防対策、他のお薬の追加や中止の検討を医師に提案し、治療計画の管理をサポートしています。診察室で(医師のそばで)残薬確認や服薬指導も行っており、また患者さんからの質問もその場で解決するため、薬局での待ち時間の短縮にも繋がっています。患者さんからは「副作用が起こっても、目の前で医師と薬剤師が対策を相談してくれるので安心です」「不安なく家に帰る事ができます」などのお声を頂いています。

    常用薬確認外来

    手術前に、おくすりや健康食品を事前に中止していなければ、入院、手術が中止になる場合もあり、患者さんに安心して手術を受けていただけるよう、常用されているおくすりで手術前に中止するべきものがないか、健康食品に中止をするべき成分が含まれていないかについて、薬剤師が外来で患者さんと面談し、事前にチェックを行います。

    6. 製剤

    患者さんの中には製薬企業から市販されていなくても、治療には必ず必要な薬剤があります。また市販されている剤形では使用が難しい薬品もあります。そのような薬剤を病院独自に調製しています。院内の審査委員会で科学的・倫理的妥当性、有効性、安全性について十分に検討した上で使用します。多くの医師の要望に対応するため、様々な疾患・病態に合わせた薬品を調製しています。これによりきめ細かい個々の患者さんにあった薬物療法が実現できています。

    7. 薬剤管理指導、病棟薬剤業務

    入院時持参薬鑑別業務

    当院では予定入院患者さんについて、原則、入院時に直接薬局窓口に来ていただいて面談し、入院時に家から持ってこられるお薬(当院の外来や、他の病院・医院からの処方薬、薬局や薬店で買われたお薬、健康食品など)の確認を行っています。入院中に行われる治療や検査への影響を考慮し、医師や看護師に注意を促すとともに、中止・減量の検討が必要な場合は、医師に意見を提案しています。ご入院の度に同様の聞き取りを実施して患者さんの時々の状況を常に把握し、入院中に安全な薬物治療を行ううえで必要な情報を得ています。この鑑別業務を効率よく迅速に行い速やかに検査や治療を開始できるよう、持参薬鑑別支援装置を導入し、鑑別の自動化を促進しています。

    病棟薬剤師の業務

    全病棟に薬剤師を配置しています。薬剤師が入院患者さんの病室(ベッドサイド)に定期的に訪問して、患者さんやご家族に対して、入院中に実施されている点滴・注射・内服治療の作用や副作用の発生時期等をご説明しています。また今後、実施される薬物療法の予定、副作用を減らす(避ける)ための注意点などもお伝えしています。さらに個々の患者さんの使用目的に合わせたオリジナルのお薬一覧表を作成し、患者さんとご家族が薬物療法についてご理解しやすいように工夫しています。その中で、患者さんやご家族からの薬物療法に対する不安をお聞きしたときは、その不安の軽減に向けて対応しています。

    常に医師、看護師など多職種と連携をとり、薬物療法が最大限に効果を発揮し、副作用は最小限になるように薬学的管理(効果・副作用のモニタリング、使用方法の変更、相互作用の確認、薬の中止・新規薬の医師に対する処方提案など)を実践しています。さらに10診療科を超える医師のカンファレンスや、診療科の病棟回診に参加・同行し、医師との情報共有やディスカッションを深めています。
    尚、病棟担当薬剤師の全員(12名)はiPadを携帯しており、病棟で臨床スタッフより問合せがあってもその場でネット環境にて検索したり、iPad内にダウンロードしたデータを利用して、即座に回答できる環境を整えています。iPadは他にも、注射薬無菌調剤(化学療法センター内)に1台、常用薬確認外来(患者支援センター)に1台、調剤室に2台、注射室に1台を設置しています。

    8. TDM(治療薬物モニタリング)

    主に抗MRSA薬を中心に、患者さんから採血した血液中の薬物濃度の測定結果を基に、各病棟担当の薬剤師が治療効果や安全性の評価を行い、最適な薬剤の投与量、投与間隔を設計し、医師へ処方提案を行っています。

    9. 麻薬管理

    医療用麻薬は、手術中、手術後の痛み、がん性疼痛などの症状緩和に用いられます。法令により厳密に管理が規制されており、全ての院内の医療用麻薬について適正な管理を行っています。

    10. 各チーム医療への参画

    様々な多職種が、お互いのチーム内での役割分担と職能を十分に理解し情報共有した上で、同じ目標に向かって、それぞれの専門性を発揮する医療チームの一員として活躍しています。

    がん化学療法チーム

    がん治療において院内の多職種でマネジメントすることは一般的となっており当院でも活動を行っています。また、“同職種による地域でのチーム”との考え方で保険薬局薬剤師と『化学療法に関しての薬薬連携』の活動を行っています。化学療法が外来で行われることが多くなった昨今、副作用は自宅で発現することも少なくはありません。そのような副作用マネジメントを保険薬局薬剤師と病院薬剤師が情報共有することで、より迅速で効果的な対応に繋げていく活動を行っています。

    ICT(感染管理)チーム
    AST(抗菌薬適正使用支援チーム)

    病院内であらゆる感染症が伝播・拡大しないように活動しています。また抗菌剤の使いすぎは耐性菌(薬が効きにくい菌)を生み出すこともあり注意が必要です。当院では、薬剤師が抗菌薬や消毒薬の正しい使用方法などを進言しています。また回診(ラウンド)があり、薬剤師が主導でディスカッションしています。

    NST(栄養サポートチーム)

    どの様な病気でも栄養状態を改善させることは大切です。医師、管理栄養士、看護師、理学療法士とともに薬剤師もNST回診に同行し、点滴や栄養剤での栄養の管理方法、下痢や便秘など消化器症状や血液検査値の異常に対応する薬剤、栄養輸液に関する処方提案を積極的に行っています。また誤嚥や栄養面に悪影響を与えるお薬の情報共有も実践しています。回診は週4回実施しており、それぞれ異なる4名の薬剤師が担当しています。さらに薬剤部から「NST新聞」を院内向けに2か月に1回発刊し、院内におけるNSTの知識向上に貢献しています。

    リエゾンチーム

    入院患者さんの精神的な支援を目的に精神科医師や臨床心理士を中心としたリエゾンチ-ムが活動しています。薬剤師はカンファレンスに参加しています。また回診にも薬剤師も同行してディスカッションに加わっています。

    緩和ケアチーム

    当院では医師、看護師、臨床心理士、薬剤師などが集う緩和ケアチ-ムが活動しており、薬剤師も薬物療法(麻薬、その他鎮痛剤など)に関して、医薬品情報を提供したり、処方提案などを行っています。また回診にも薬剤師も同行してディスカッションに加わっています。

    糖尿病療養指導支援チーム

    糖尿病教室などで治療に関わる糖尿病薬・注射薬について情報提供し、患者さんが主体的に薬物治療に関わる環境を整える支援を行っています。カンファレンスにも参加し、効率的・効果的に継続できる薬物療法の確立に努めています。また、糖尿病医療に関連したヒューマンエラーについての対策の検討、糖尿病治療や患者教育に関する職員への啓発・研修も行っています。

    認知症サポートチーム

    医師、看護師、管理栄養士、臨床心理士、作業療法士、医療ソーシャルワーカー、薬剤師からなる高齢者・認知症サポートチームとして、身体疾患の治療の目的に入院された認知症患者さんに、安全でより質の高い医療を提供し、入院中の認知機能の向上に努めています。退院後のより良い生活にスムーズにつながるように、カンファレンスや回診に参加して、薬剤の情報提供や処方提案などを行っています。

    禁煙チーム

    禁煙教室で禁煙補助薬や禁煙のコツについて説明を行い、患者さんが不安なく禁煙に踏み出せるよう後押ししています。

    心臓リハビリテーションチーム

    心臓病の患者さんの症状増悪や再発予防を目的として、運動療法を中心に、生活指導や薬物療法、食事指導など、総合的にサポートするためのチームです。薬剤師はカンファレンスに参加しています。多職種と情報共有し、薬物療法の面で関わっています。

    倫理コンサルテーションチーム

    医療はただ治療すれば良い、生活の質が上がれば良い、と言うものではありません。身体面は勿論ですが、精神面、経済面などの問題も生じてきます。また宗教的なこと、国籍の違い、家族のバックアップ体制などにも医療は大きく影響します。主治医と共に、様々な診療科の医師、薬剤師、看護師、事務の専門家等が集まり、今後の臨床推論をしながら最善の医療とは何かを考え、臨床スタッフに助言を行います。昨年度は7症例のカンファレンスに薬剤師が参加し、倫理面でのサポートを行いました。

    11. 薬剤師とクリニカルリサーチコーディネーター(CRC)の協働による臨床試験の支援

    がん臨床試験は、プロトコールが複雑になり、科学的、倫理的な面など、質の高い試験の実施が求められています。しかし多忙な医師だけでは、正確に実施するには困難になってきており、試験支援スタッフの存在が不可欠となっています。そこで日本がん治療学会認定のCRCの支援で、試験データの品質管理をしています。患者さんから得られた症状・所見、検査データ等の原資料の適切な作成および整備を研究者から独立した第三者的な立場で試験全体のQuality Control を行うことで試験の実施を円滑、試験データの信頼性の向上に寄与しています。

    12.新人教育

    新人(新規採用)薬剤師に対する導入研修

    病院薬剤師は医師と協働する業務が非常に多岐にわたり、薬剤師の発言や行動が直ぐに患者の命に関わることも少なくはありません。新人薬剤師には11週間の新人職員教育プログラムを設け、全ての業務を経験してもらい臨床現場に柔軟に適応できる人材を育てています。講義は9講義あり、講師は10年目以上の経験豊かな薬剤師が担当します。また、導入研修とは別に、年間勉強会を実施し(46回/年)全ての領域の疾患の(薬剤師が関わった)266症例を臨床経験豊かな薬剤師(医療薬学専門薬剤師)から学びます。これらの研修を実施することで、医師と対等にディスカッションができ、臨床スタッフから信頼される臨床家としての薬剤師を育てます。さらに、病棟担当になった場合、医師や看護師、患者さんから様々な質問を受けて困ることもありますが、各診療科カンファレンスに出席している薬剤師や他の病棟薬剤師に直ぐに聞ける体制がありますので、安心して病棟に上がることができます。

    令和5年度の新人職員教育プログラム例

    研修期間は4月1日から6月16日までの約11週間。病院全体研修3日間、調剤室15日間、注射室10日、抗がん剤ミキシング9日間、病棟12日間、医薬品情報室3日間の合計52日間。講義は抗がん剤ミキシングの実施と器具の解説で3講義、感染管理、麻薬管理、医療安全、救急における輸液療法、救急における薬剤指導、処方オーダリングシステムを各1講義ずつの合計9講義。

    年間勉強会(令和5年度のスケジュール例)

    領域①「胃がん」の講義数は1回、4症例を提示。②「大腸がん」の講義は1回、7症例。③「肺がん」の講義は2回、10症例。④「乳がん」の講義は1回、6症例、⑤「造血腫瘍」の講義は5回、34症例、⑥「その他のがん」の講義は5回、27症例、⑦「高血圧症」の講義は1回、3症例、⑧「糖尿病」の講義は1回、6症例、⑨「心疾患」の講義は1回、5症例、⑩「脳血管障害」の講義は1回、7症例、⑪「精神神経疾患」の講義は1回、1症例、⑫「免疫・アレルギ-疾患」の講義は4回、31症例、⑬「感染症」の講義は6回、38症例、⑭「栄養代謝・透析」の講義は6回、29症例、⑮「緩和医療・麻酔」の講義は3回、15症例、⑯「医療安全・インシデント回避」の講義は5回、36症例。最終講義は将来の臨床家としての薬剤師をテ-マに「薬剤師外来」を実施、7症例。最後の講義で確認試験を実施します。
    ※講義の時間は60分/回、その後、質問時間を設けます。

    院内フォーミュラリーの推進(教育)

    当院では様々な症状に対して、効果(ベネフィット)と副作用(リスク)、経済面も考慮し、どの薬剤を優先して選択すべきなのかを診療科医師と相談(監修)してフローチャートにまとめたフォーミュラリーを該当委員会の諮問・承認を得て作成しています。電子カルテやネット環境の当院ホームページからでも閲覧可能であり、研修医や他の新人臨床スタッフの臨床薬学教育だけではなく、新人薬剤師の教育にも役立っています。電子カルテに公開しているため、医師も薬剤師も同じ情報源を見ながら薬物療法のディスカッションが可能であり、新人薬剤師でも医師に処方提案しやすい環境を整えています。作成したフォーミュラリーは、「睡眠薬」「便秘薬」「湿疹抗アレルギー薬」「消炎鎮痛剤(外用薬)」「消化性潰瘍治療薬」「成人アレルギー性鼻炎薬」「鉄欠乏性貧血」「二次性骨折予防薬」「内服不能時のレボドパ製剤」「C. difficile 感染症治療薬」「脂質異常症治療薬」の11種類が公開されています。写真の例は、電子カルテで閲覧した時の、「睡眠薬」フォーミュラリーになります。

    その他の新人研修

    NST回診の担当になった場合、当院作成のNST薬剤師回診マニュアルや過去のNST新聞を教材として11講義の研修があります。症例検討を多く取り入れた実践的な内容です。

    薬剤師レジデント制度について

    高度医療、地域に根差した医療、患者に寄り添う医療など、幅広い臨床業務を実践できる薬剤師を養成することを目的に、2019年度より薬剤師レジデントを採用しています。研修期間は2年間であり、日本医療薬学会研修ガイドラインに準拠した研修カリキュラムを用いた指導を行っています。病棟業務では、レジデント在籍中に全ての診療科、及び最大10病棟を研修します。また、毎週行われる薬剤カンファレンス(症例検討・処方介入事例)に参加し、年8回行われるセミナー、年3回の英文抄読会では発表を行うとともに、専門・認定薬剤師からの講義(10講義)を聴講します。NSTや、緩和医療、リエゾン、AST/ICT等での各チーム医療のラウンド・カンファレンスに参加し、チーム医療の中での実践能力を高めます。日本病院薬剤師会近畿学術大会や日本医療薬学会、日本薬剤師レジデントフォーラムで発表を行い、研究能力を高め、症例に対する探求心と臨床家としての資質を向上させます。当院は日本医療薬学会の医療薬学専門薬剤師、がん専門薬剤師、薬物療法専門薬剤師の研修施設に同学会から認定されており、将来の認定取得にも視野に入れた研修が可能です。また1年目では、毎週、医療薬学指導薬剤師(日本医療薬学会)の講義(新人薬剤師に対する研修)の年間勉強会を聴講しジェネラリストとしての知識を向上させます。2023年度は、2名が在籍しています。

    臨床現場で必要な「薬剤師として求められる基本的な資質」そして、全人的医療(身体面、精神面、社会面、倫理面)の修得を大学で学ぶ知識と結び付けながら薬学生に身につけてもらえるよう全力で指導を取り組み、将来の臨床家としての薬剤師の育成に力を注いでおります。

    薬剤カンファレンス

    病棟担当薬剤師と医薬品情報業務(DI業務)担当薬剤師が一堂に会する症例検討会を毎週行っています。薬剤師による患者さんへの薬剤指導、医師への処方提案、医師・看護師・他職種への情報提供のタイミング・方法・内容、臨床推論をディスカッションし、臨床での医療の質を向上させています。さらに、病棟薬剤師がどの様な処方提案・介入を行っているかを全件エクセル化し全員で情報共有して評価しあうことで、臨床家としての薬剤師の資質を高めています。このカンファレンスは、毎週水曜日の14時から30分間、業務時間内に行っており、毎回20名以上の薬剤師が参加しています。

    臨床薬学講師

    院外の看護大学や薬学部の臨床薬学に関する講師、院内の勉強会での講師を務め、いろいろな医療従事者や学生に対する教育も行っています。

    がん専門薬剤師の育成、他

    薬剤師の各学会が認定する認定・専門薬剤師制度の中に、がん領域における専門知識・技術・経験等の能力を担保する資格に日本医療薬学会が認定する「がん専門薬剤師」があります。
    この資格は認定研修施設に5年以上研修が必要などの認定基準があり、その施設(基幹施設)は兵庫県内で(R5年4月現在)11施設ありますが当院も同研修施設に認定されています。当院は、神戸市で4施設が認定されている国指定がん診療連携拠点病院の一つでもあり、多くの知識を習得できます。その他、同学会の「医療薬学専門薬剤師」、「薬物療法専門薬剤師」「地域薬学ケア専門薬剤師」の研修施設に認定されており、様々な分野の専門薬剤師を習得しやすい環境が整っています。

    院外薬局の薬剤師の研修

    当院は日本医療薬学会の「地域薬学ケア専門薬剤師」の研修施設に認定されており、1回/週、半日間ですが、院外薬局からの薬剤師の研修を受け入れています。研修期間は5年間であり、薬剤カンファレンス(症例検討会)に参加、及び実際に病棟に上がり指導薬剤師とともに薬剤管理指導業務を研修します。新人研修である年間勉強会(46回/年)にも参加し、臨床気質の向上を図ります。

    13. 論文、学会発表、講演会など

    令和4年(2022)年度

    論文1(著者1)、学会発表7(口頭1、ポスタ-4、ポスター共同2)、外部講演会講師4

    論文(著者)

    • 森良江※1、前万紀子※1、中浴伸二※1、森本茂文※1
      ※1西神戸医療センタ-薬剤部
      “フォーミュラリー浸透のための段階的なアプローチの実施と医療従事者の意識変化”

      日本病院薬剤師会雑誌 Vol.59 No2.2023

    学会発表(口頭:演者)

    1. 油屋恵※1、島村康弘※2、中浴伸二※1、井谷智尚※3、京極高久※4

      ※1西神戸医療センター薬剤部、※2栄養管理室、※3消化器内科、

      ※4外科・消化器外科

      “アナモレリン投与終了後も食欲を維持し化学療法を完遂できた1例”

     第37回日本臨床栄養代謝学会学術集会,横浜,2022.5.316.1

    学会発表(ポスター:演者)

    • 森良江※1、堀勇太※2、磯部佳歩※1、中浴伸二※3、森本茂文※1

      ※1西神戸医療センター薬剤部、※2社会医療法人陽明会小波瀬病院薬剤部、※3神戸市立医療センター西市民病院薬剤部
      “フォーミュラリ浸透のための段階的アプローチ”

      第32回日本医療薬学会年会,Web+群馬,2022.9.23~25

    • 森良江※1、前万紀子※1、磯部佳歩※1、奥野昌宏※1、森本茂文※1
      ※1西神戸医療センター薬剤部
      “病棟薬剤師による処方提案での院内フォーミュラリの活用”

      第1回日本フォーミュラリ学会学術総会、東京、2022.10.30.

    • 前万紀子※1、森良江※1、森本茂文※1
      ※1西神戸医療センター薬剤部
      “薬剤師レジデントを中心としたフォーミュラリ作成のプロセス”

      第1回日本フォーミュラリ学会学術総会、東京、2022.10.30.

    • 磯部佳歩※1、西村亮※1、山内章嗣※1、原田卓弥※1、山﨑彬史※1、中西真也※1、奥野昌宏※1、森本茂文※1
      ※1西神戸医療センター薬剤部
      “院外処方箋疑義照会等簡素化プロトコール導入による疑義照会に係る業務負担の軽減効果”

      第12回日本薬剤師レジデントフォーラム、大阪、2023.3.5.

    学会発表(ポスタ-:共同)

    • 石田洋史※1、奥野昌宏※2、中浴伸ニ※1、田中詳ニ※1
      ※1神戸市立医療センター西市民病院薬剤部、※2西神戸医療センター薬剤部
      “西市民病院での COVID-19 の治療におけるカシリビマブ/イムデビマブ(ロナプリーブ)やソトロビマブ(ゼビュディ)の使用状況フォーミュラリ浸透のための段階的アプローチ”

      第32回日本医療薬学会年会,Web+群馬,2022.9.23~25

    • 喜古康博※1、7、廣井順子※2、7、石坂敏彦※3、7、森本茂文※4、7、本田一春※5、7、山田英紀※6、7
      ※1藤沢市民病院薬局、※2東京都立小児総合医療センター薬剤科、※3堺市立総合医療センター薬剤・技術局、*4神戸市立西神戸医療センター薬剤部、※5公立昭和病院薬剤部、※6大和市立病院薬剤科、※7全国都市立病院薬局長協議会
      “全国都市立病院薬局長協議会参加施設における新型コロナ感染症拡大に伴う薬剤部門の業務調査”

      第32回日本医療薬学会年会,Web+群馬,2022.9.23~25

    外部講演会

    • 森本茂文※1
      ※1西神戸医療センター薬剤部
      “最近の病院薬剤部の職能~見える化を意識して~”

      兵庫県病院薬剤師会西播支部学術講演会,2022.10.26

    • 家村恵※1
      ※1西神戸医療センター薬剤部
      “治療を受けられている患者さんとご家族への指導”

      連携充実加算に係わる研修会,2022.11.15

    • 奥野昌宏※1
      ※1神戸市立西神戸医療センター薬剤部
      “病院薬剤師の業務と輸液について”

      神戸女子大学、須磨、2022.12.15

    • 中西真也※1
      ※1西神戸医療センター薬剤部
      “癌種別講義①:頭頚部がん・食道がん”

      令和4年度第3回薬剤師連携推進研修会,2023.2.12

    14. 薬剤部の見学について

    レジデント、パート・アルバイト、期限付き正規職員、正規職員を希望される方のために、随時薬剤部の見学会を実施しています。希望される方は下記の1~4を必ず記載の上、E-mailにてお申込ください。

    • 氏名(フリガナ)
    • 性別
    • 大学名・学年(社会人の方は現在お勤めの事業所、お勤めでない方は記載不要です)
    • 見学希望日(第2希望までご記載ください。)

    見学はお一人でも実施いたします。お時間は通常2時間ですが、ご都合により時間調整致します。

    申込先:akihiro_okuno@kcho.jp(件名は【見学申込】としてください)

    担当:副薬剤長 奥野(おくの)

    TEL:078-997-2200(代表)

    製薬企業の方へ

    薬剤部への訪問方法について

    医薬品情報提供について

    提出資料について

    紙媒体は各1部を郵送で、紙媒体とは別に、電子情報として提出可能なものはすべて電子媒体または電子メールで提供してください。紙媒体のみしかない情報につきましては、その旨ご連絡ください。

    提出資料一覧

    および参照資料(参照資料番号は、提出資料の番号と一致するように記載してください。提出書類以外の資料については、資料毎にアルファベット表記してください。A)~Z)。各項目は必ず記載していただき、情報がない場合や該当しない場合はその旨を記載してください。

    • 添付文書
    • 医療用インタビューフォーム(以下、IF)
    • 製品情報概要
    • 新医薬品の「使用上の注意」の解説
    • 適正使用ガイド
    • 承認審査報告書
    • リスクマネジメントプラン(RMP)
    • 対象疾患ガイドライン等の適正使用に関する情報
    • 患者向け資料(用法紙・小冊子など)
    • 製剤見本(あれば)
    • 同効薬比較表(当院ホームページの採用医薬品一覧参照)
    • その他当該医薬品に関するその他の資料(各種安定性、配合変化のデータ、粉砕・簡易懸濁に関するデータなどでIFにないもの)
    • 周辺他施設の採用状況
    • 原産製造国・製造生産国
    • 各種コード資料:Word形式、製剤写真:JPEG形式〈内服:裸錠表面・PTP2錠、外用・注射剤:製剤1個〉、くすりのしおり:Word形式(いずれも電子的情報のみで提出)
    • 想定質問FAQ

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